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フリースタイルで使う曲を探そう 〜WYYC2023 ナンバツカサ編〜

新コーナー。
読者の皆さまから「こういう曲を知りたい!」というフリースタイルの動画を教えてもらい、そのフリースタイルで使用されている楽曲に近い楽曲を探してきて紹介する、試み。


「答えはFuture Jungle」

第一回はWYYC2023のナンバツカサ選手。

楽曲はこちら

HIEROPHANT GREEN / nostalgia


回答

こんな感じの曲は「Future Jungle」にありがち、ということで何曲かピックアップしておきます。


解説編

以下うんちくです。

Dig(曲探し)の基本

そのアーティストの曲っぽいけど、そのアーティストの曲ではない曲を探す時にポイントとなるのは
・所属レーベル
・制作時期
・ざっくりジャンルを掴む
こんなところでしょうか。

所属レーベルはチームですから、ヨーヨーでも同じでしょう。
メーカーに所属する選手はなんとなくそのメーカーの雰囲気になります。

制作時期は意外と影響があり、少なからずトレンドを反映するからです。アルバムからアルバムの間が5年空いたら全く違う音楽になっていた、みたいなことも少なくありません。
逆にブレなさすぎる人もいますが。

ジャンルについて、今回あえて言いたいのは、「ジャンルというのはあくまでタグである」ということ。
こういう音が鳴ってるからこの曲はコレだよね、ということではなくて、この音がなってるからこの曲はココに含まれるよね、くらいの感じで捉えたほうが後々理解しやすいです。

さて、HIEROPHANT GREENはどうなのか。
とはいえ実は情報が超少なくて、断片的ではあるんですが拾っていきます。

所属レーベル

neon shuffle records
UPPER FIDA
Boys beat Girls style Records

ビビるくらい情報がありません。
ちなみにHIEROPHANT GREENは日本人ですが、恐らく国内でドメスティックにやっていたのだろうと思います。
この3レーベルとも、本人とその周辺で運営していたような足跡があります。
自分でレーベル立ち上げて自分たちだけのレーベルとして運営する、というのは珍しくないのでそのパターンかな、と思います。
このパターンは横に広がらないので一旦レーベルから辿るのはナシにしましょう。

となると、ナンバ君はそもそも何かで出会ってずっと好きでなければ、この曲使わないよね?

制作時期

一応制作と書きましたが、我々消費書が実際に触れるのはリリースされてからになるので、リリース年を辿っていきましょう。

2015年とのこと。
さっき例に挙げたJokerのMy Trance Girlが2011年なのでなるほど、という感じ。

ジャンルは「ブレイクス」

音楽を分解する時、だいたい上と下に分けておけばokです。
上…ボーカル、ギター、シンセ
下…ドラム、ベース
そしておおよそ、ドラムパターンでジャンルが形成されることが多いです。

nostalgiaのドラムパターンはブレイクスです。
ブレイクスてなんやねん、という感じですが、ブレイクスはブレイクスでざっくりしすぎているので、今のところは
ドンツンタンタカ、のビートだと思ってもらえればよいです。
(全くnoteに向いてないなこの企画)

だからシンセの感じが好き〜となっても探すべきジャンルは「ブレイクス」にあるわけです。
案外ここでつまずく人が多い気がしています。

とはいえ、じゃあこのシンセの感じはどこから探したらいいねん、となるわけですが、正直これは音楽を聴きまくるしかありません…と言ってしまったらこのnoteを書く意味がないので、もう少し深掘りしていきましょう。

そもそも冒頭で「future jungle」と回答しておきながら「ブレイクス」ってどういうことやねん?という感じですが、「future jungle」は「ブレイクス」に包含されると思ってもらえればいいです。

最近一部界隈で盛り上がりを見せているUKベースミュージックシーンの文脈の中で名前を聞くことが多くなったこのBreaksというジャンル。
大雑把な理解として言ってしまえば、ドラムンベースのビートパターンを軸としたBPM130前後のベースミュージック、といったところでしょうか。こんな書き方だとガチ勢にお叱りを受けそうですが…。先述したUKベースミュージックの中でもとりわけUKガラージとの結びつきが強いジャンルかと思います。

https://letia-musicteller.com/2023/01/29/genre-explain-2023/

うん。わかります。メチャクチャ説明がムズいです。
個人的に訂正したいのはやはり「ドラムンベース」じゃなくて「ジャングル」なんじゃないか?というところ。
多分現代人がドラムンベースと聞くとEDM的な、ハードコアなドラムンベースを想起しそうな気がします。

みんな大好きGold Dust

こっちがもっとJungleに寄せたRe-Edit

ドラムパターンをよく追って聞いてみてください。
そして、このパターンが低速で再生された時のイメージをしてみてください。

だから「future jungle」はこのドラムパターンであるわけです。
かつ、先述の引用で「遅いドラムンベース(jungle)」である、というところから、全然名前が違うのにほぼ同一のもの、ということになるわけです。ややこしいですね。
冒頭でジャンルはタグと言ったのはこういう理由があります。future jungleであり、ブレイクスである、複数ジャンルが同居することは大いにあり得るわけです。

じゃあベースは「jungle」である。「future」てなんや?って話。
ほぼ「ポスト」と一緒です。
音楽には「ロックだけどロックじゃない」「ガラージだけどガラージじゃない」、だけどこういうやつが好きなんだ俺は……みたいな曖昧な境界に線を引く事が多いです。
「世が世であればこれは『ロック』と呼ばれていたであろう」、という「ポスト」
「『ロック』を下敷きにしているけどこれは先見の明がありそう」という「Future」。
やっぱり何を言ってるかよくわかりませんが肌で感じてください。

今回の場合は低速Jungle+多種多様のシンセ=Future Jungleという認識で良いと思います。
「このノリ好きだ!」と思ったらJungle側からアプローチして、
「このシンセ好きだ!」と思ったらFuture側からアプローチすればいいわけです。
こうした新興ジャンル(Future Jungleは過渡期に出たジャンルなので定着せずに流れていっている可能性はありますが)はジャンルの複合系が多いので、まずはその源流を突き止めると探しやすくなります。

一息で話すと混乱してしまうと思うので、この試みを何度か繰り返してみて、自分自身で楽曲を探せるようになっていけると良いですネ。

それではまた!

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