悲鳴の媒介者【詩の練習帳 40】

マフィンを食べてたら
周りに居たこどもたちが
鼓膜の破けそうな
悲鳴をあげた

ついでに
その悲鳴を聞いた女性も
鼓膜の破けそうな
悲鳴をあげた

もうここまで来れば
ぼくも悲鳴を
あげてやろうと思ったが
いかんせん
鼓膜が限界だ

今、ぼくが
悲鳴をあげたら
この鼓膜は破れるだろう

正直、みんなが
悲鳴を上げる理由が
わからなかったが
視界の端に
黒色の人気者が
コンクリートを這うのが見えた

ぼくは
マフィンを食べるふりをして
静かにその場から逃げた

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