薄氷の亀裂
短剣は移動するものなのかい
それは分からない
暫く不毛な会話が続いた後
少年は切り出した
まぁ移動しているなら
いつか出会えるじゃん
あまりに間の抜けた言葉に
周りは唖然としたが
それは少年の純粋さ故の
回答だったのかもしれないと
数刻経って各々思った
ライスワイフも引き籠ったし
どうやって街まで行くか
考えないと
船に脱出用のボートが
積んである
船員のひとりが言うと
姐さんを置いていくわけには
いかないし
おれたちゃここに
暫く残るよ
また別の船員が言った
じゃあそのボートを
お借りしようかな
動力源は何もないが
それはこっちで何とかする
わたしもここに残るわ
ザンパムも警戒しながら
語気を強めて言った
分かった行くよ
アイウェオは少し戸惑いながらも
少年について
脱出用ボートに乗った
◆ 戦利品 ─【孤立】
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