ダイヤモンドは挫けない【Miracle Fanta詩 Ⅱ 285】

壁にめり込んでから
どれだけの時が経ったのだろう

岩肌の少年イワモトもとい
ダイヤモンドの少年アストン
ようやく意識を取り戻して
立ち上がった

辺りを見回しても
石薔薇の魔女と邪炭素の集合体の姿は
どこにもなかった



「早く…みんなのところへ…向かわないと…」
── ダイヤモンドの少年、アストン


しかしながら
体力的には満身創痍ではあったものの
傷ひとつついていなかった

恐らく慣れない身体で
心身ともについていけていないのだろう

身体は鉛のように重たかったが
なんとか歩けはした


「ねぇ…イースター」
── アストン


イースターを呼んだが
もちろん返事は返って来ない

彼の呼びかけは
虚空へ吸い込まれて行った

たった一人で行動するのは
ライスワイフたちと出会った頃以来だと
不意に思い出して懐かしくなった

沼のように沈む足元を
なけなしの体力で踏ん張りながら
アストンは
ライスワイフたちの元へと歩を進めた



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