バスタイム・レクイエム Part⑤【Miracle Fanta詩 Ⅱ 279】

アダムネヴァの身体は
並の大人の三倍以上にまで巨大化し
ドミニスリヤと
他の七人の前に立ちはだかった


「お主…、禁断の魔法に手を出しおったか…」
── 大魔導師ドミニスリヤ


アダムネヴァの見た目は
まるで氷を着た雪男イエティのようだった

巨人は逃げ惑う弟子のひとりの腕に噛みつき
そのまま平らげようとしたが
腕を噛みちぎったところで
ホークジョウの幻術に邪魔された


「おい…お前、どうしちまったんだよ…?
そんなやつじゃないだろう…?」
── ドミニスリヤの弟子、ホークジョウ


アダムは一瞬頭を抱えたが
錯乱しているのか
さらに暴れ回った

その際
ライスワイフは吹き飛ばされ
脳天がかち割れてしまった

彼女の周りは血の池と化した


「ライスワイフ!!」
── ホークジョウ


ホークジョウは泣きながら叫んだが
彼女はピクリとも動かなかった


「憎しみに我を忘れるでない。
さすればあやつのようになるぞ」
── ドミニスリヤ


ドミニスリヤは
ホークジョウを諭し
巨人となったアダムネヴァを
空間転移魔法で別の空間へ飛ばした

辺りは不気味なくらいに静まり返り
ドミニスリヤは
ライスワイフの元へ駆け寄った


「魂と願力はまだ生きとるな」
── ドミニスリヤ
「し、師匠…!ライスワイフを…助けてくれよぉ…!」
── ホークジョウ


ドミニスリヤは
船の瓦礫から人形を作ると
ライスワイフの
魂と願力を混ぜ合わせたものを
その人形の右目にへ押し当てた

リヴォルヴァーのついたアイパッチで
その右目を塞いでやった

°  °  °  °  °  °  °  °  °  °

マダムネヴァは
顔についたパックを外して
湯船から立ち上がった


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