目醒める鼓動のそのなかに

気の狂った
謎の舞踊集団の
踊りにより
発生した熱量は
飛空船の鉄板を伝わって
アバラ山脈の
表面を覆う雪や
凍てつく氷をも
融かしていった
それはライスワイフの
部屋も例外ではなく
凍てついた空気が
まるでストーヴで
温められたように
徐々に熱を帯びていった
ライスワイフの
氷ついた心臓の拍動も
元に戻って行った
体内を疾る電気信号が
バリバリ音を立てて
増幅するのを感じた
迷っている場合ではない
元の仲間の真実を
見ていないのであれば
自分の目で確かめるのだ
少年も何事もなく
復活していたが
きっと何かあるはずだ
最悪の結末も
覚悟しなければいけない
どうゆう現実が
襲い掛かってきても
決して目を逸らしてはいけない
立ち向かうのだ
ライスワイフは
自らを鼓舞して
鉄板の扉を
静かに開いた

◆ 戦利品 ─【揺るぎない覚悟】

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