石切場の山賊たち
アイウェオは
石造りの小さな檻に
閉じ込められていた
彼はこの状況下に於いても
自分がどういう状況に在るのか
まったくもって
把握していなかった
ただふたつの
大きくて真っ赤な瞳を
左右にぎょろぎょろさせて
行ったり来たりする
山賊の丸太のような
脚を眺めていた
ええい
こやつの飼い主は
まだ来んのか
それやあ知らぬ間に
かっさらって来たんだからあ
どこに居るのかなんて
分からんでしょう旦那あ
沸を切らして
頭から煙を上げている
筋骨隆々の火山頭と
小太りで鼻のやけに大きな
深緑の皮膚の
小さい悪魔のような生きもの
それから少し向こうの座敷には
何かの骨や皮を纏った小柄な少女が
いびきをかいて寝ていた
ザンパムはこの状況で
よく寝ていられるよな
それが少女の名前のようだった
思念波が祭囃子のように飛び交い
火山頭の噴煙から
マグマの飛沫も踊ると
アイウェオにとっては深刻な状況だが
なんだか滑稽な雰囲気だった
◆ 戦利品 ─【マグマのダンス】
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