ワタヌキの母

それとぼくたちは
電波塔に行って
マグマドグマという
魔法使いを懲らしめるんだ
彼は何かに取り憑かれて
しまっているから
目醒めさせないと
魔法使いなんて
現実に存在するんだ
ぼくは今
絵本か物語のなかにいるのか
あまりにも話が
ぶっ飛び過ぎている
ワタヌキは混乱した
今起こっていることすべてが
現実で起きていることなんだ
まだきみは信じることが
出来ないかもしれないけれど
ミナミの親御さんたちも
あそこに行ったっきりだし
ライスワイフも
もと同じ団で一緒にいた仲間だ
博士はぼくらが来るずっと前から
この街の動きを観察していた
おっと
博士が手を滑らせて
持っていたカップを
落として割ってしまった
何か拭くものを
博士が立ち上がり
キッチンへ向かうと
ある女性の写真が目に留まった
アオイ
博士がその女性の名前らしきものを
ぼそっと口にした
母さんのことを知っているの
お主
アオイの息子か
ならば真実を話さねばならぬな
真実を受け入れる覚悟はあるか
厳しい表情で
博士はワタヌキに問うた

◆ 戦利品 ─【繋がる点】

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