電波塔の脅威

どうすれば良いんだ
雑草の髪の少年は
絶望感に苛まれた
あんな巨大なもの
ぼくの力じゃ
どうにもならないよ
そういえばアイウェオは
どこへ行ったの
ザンパムが
間の抜けたように
ぼそっと呟いた
少年は少し考えたあと
そうか
その手があったか
ラボに戻ろう
少年とザンパムが
街を走るなか
電波塔はゆっくりと
建物を踏み歩いていった
ぐしゃりぐしゃりと
みるみるうちに
更地が増えていった
あたしたちのお家が
街の人々の嘆きを聞いたが
彼らにも
そしてぼくたちにも
今はどうすることも
出来なかった
そんななか
遠くから一機の
グライダーが飛んでくるのが見えた
あれは誰が乗っているんだろう
そのグライダーは
電磁気を帯びながら
真昼の空を滑空していった
通常のグライダーでは
なし得ない軌道を描きながら
プラズマ弾を電波塔の巨人に
向けて発射していた
まさか
ライスワイフが
乗っているのか

◆ 戦利品 ─【空からの救援】

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?