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巻きもど詩

アイウェオは
こころの鞘から
意思の短剣を
引き抜くと
街は瞬く間に
もとの姿へと
戻って行った

ちょっといいかな

ミナミは両親に
少し長旅に出ることを伝えた
戻って来るとは
思ったが
彼女は
何故だか
そんな気がした

アイウェオは
また空へ飛び立つと
湖畔へ向かった

道中
壊れた稲妻船団の船が見えた
その近くにあったグライダーは
見当たらなかった

あのグライダーは
シロツメとわたしが
乗って来たのを
改造したんだね

そうそう
船は直らなかったけれど
グライダーを
拝借したよ

アバラ山脈を超えて
ハイエナ峠を迂回して
石切場を見た

ミナミは
外の世界が
こんなにも
拡がっていることに
感動した

そしてドンブラ湖畔に着いた
森林は荒れ果て
薙ぎ倒されたままだった

ここはどうしたの?

ミナミが心配そうに聞いた

わたしたちの
罪のひとつだね
力が制御出来なかったんだろうね

アイウェオは
こころの鞘から
短剣を引き抜いた

みるみるうちに
荒れ果てた木々は
緑豊かな
森林へと戻った

最後にアイウェオは
旅の始まりの地へと
辿り着いた
その頃には
陽はすべて沈んで
幾多の星が
空へ輝いていた──

"──ぼくの名前はシロツメ
いちばんありきたりで
いちばんよく目にする雑草だけれど、
生命力に溢れている
まるでそれは、
あなたの生きる力にも似ている…
これはぼくたちのお話であり、
あなたのお話でもある
あなたはいつの時代でも、
おとぎの世界の主人公なのだから…"

歯車は
いつでも回転している
滞りなく
止まることなく…

ほら、
頁を捲ると
次の誰かの奇跡のお話…

けれどもそれは、
またの機会に…

── 短剣を巡る探検、終わり ──

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