バザールの少年【Miracle Fanta詩 Ⅱ 292】
ここは砂漠の街のバザール
団長ホークジョウ率いる泡沫船団は
物資の補給に此処を訪れていた
長旅の最中の束の間の休息も兼ねていた
ホークジョウも久しぶりに羽を伸ばしに
街へ繰り出した
ここら辺の夜の酒場は
あいにく柄の悪い連中だらけだったが
彼にとってそんなことは
美味い酒が飲めればどうでも良かった
そんな中
外では見せ物小屋が催されていた
野次馬が珍しいもの見たさに
濁流のように集まり
各々に野次を飛ばした
見せ物小屋の中のひとりの少年は
客に水の入ったカップを渡されると
少し手元で握ってまた返した
すると持ち主は驚き狂い
返されたカップをひっくり返して割った
何やら文句を言いに
檻の中へと入ると
今度はその客に手を当てた
すると客は急に
青白い顔になってその場に倒れた
周りの人々はすかさず
少年を取り押さえようとしたが
同じような方法で
誰しもが青白い顔になって倒れた
ホークジョウは
これはいかんと思い立ち
少年に接近を試みた
少年は近づくホークジョウに
周りの客と同じような方法を取ったが
気がつくと別の場所に移動していた
一体全体何が起きたのか
彼自身理解することが出来なかった
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