気遣い【天候術師のサーガ 19】
そうだ、
おばあちゃん…!
── イノリゴ島の少女、ナナミ
ナナミは地面に横たわった
ナミナおばあちゃんの鼻をつまんで
人工呼吸を行った
心臓はまだちゃんと動いているから
空気を与えれば大丈夫だと思う!
── ナナミ
うちに…できること、ある…?
── 島ギャル、アガヴェ
うまくいくように
見守ってて…!
── ナナミ
ナナミは力強い眼差しで
アガヴェを見つめた
アガヴェは
なぜだか涙が出そうになったが
ここで泣いてしまったら
ナナミの施術が
うまく行かない気がしたので我慢した
ナナミは人工呼吸だけでなく
心臓マッサージも同時に行い始めた
しかし、思い切り行うのではなく
やさしく確実に
心臓に気を送っているように見えた
アガヴェは
ナナミが心臓マッサージをするごとに
周りの空気が震えるように感じた
20へつづく
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