水蒸気よりの追撃

辺りは黒い水蒸気で
囲まれていた
一つ目の陽が登りかけていたが
その光はまるで見えなかった
ライスワイフは注意深く
プラズマのバリアを手厚くした
耳をつんざくような
プラズマのうねりの音と
水蒸気の弾ける音が
周辺に拡がっていた
その隙間を縫って
黒い荊が突如突き抜けて来た
荊はプラズマで焼け焦げたが
二発三発と繰り出された
恐らく物理的な攻撃を
目的としているのではないことが
感じて取れた
荊からは悪意しか読み取れなかった
他方から攻撃してはいるが
肝心の本体は
一箇所に留まっていると思われる
ライスワイフは
まるで鳥籠の鳥だが
本当に鳥籠にいるのは
どちらであるのかを
分からせてやらねばならぬと
思い立った

◆ 戦利品 ─【発想の転換】

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