ヘンテコ旅団

電波塔内では
新たな電波映像の準備をしていた
普段よりも慌ただしい

死んだ魚のような目をして
操られたように働いている
入り口付近には
ミナミの母親の姿があった
そこへ七人組の
ヘンテコ旅団が押しかけてきた
彼らが入ってくると
塔内の人々は
一斉に彼らの方を向いた
まあまあ
みなさん
持ち場に戻って
博士がなだめると
人々は何事も無かったかのように
作業を再開した
受付の前を通りかかると
受付嬢に引き止められた
困ります
あなた方のような
ヘンテコな格好をした方々が
この神聖なる党内へ
入場することは
若干話している文法が
めちゃくちゃではあったが
通じないこともなかった
けれども話し口調や
表情といい
どれも不自然極まりなかった
我々はあなた方のお偉いさんに
電波映像通信に出演してほしいと
頼まれて赴いたんじゃぞ
予約は入っていませんそのような
どれどれ
ぐいっと目元に力を入れると
今まで空欄だった台帳に
文字が浮かび上がった
ほらの
信じられないそんな
ヘンテコ旅団は
上の階を目指して
エレベーターホールへと向かった
ママ
ミナミは自分の母親の姿を発見し
駆け寄った

◆ 戦利品 ─【母親の姿】

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