故郷の詩

ここはあやつの
故郷じゃからの
いつか必ず戻って来ると
信じておったんじゃ
それだけじゃ
分からないんじゃないの
ザンパムが
マグマドグマと一緒だったのは
そのせいなのか
あの子には
潜在意識的に
あやつを見張るよう
暗示していたのじゃ
あの子の見たものは
ワシにも見えていた
そんな
娘を利用するなんて
確かにその点では
ワシは親としては
失格じゃな
そのバチが今当たったのやもしれん
マグマドグマは
この街が王政だった頃の
王子じゃった
しかしながら
魔女の存在が世間に知れ渡ると
街では魔女狩りが始まった
あやつの母もまた
魔女だったのじゃな
当然関係のある父は殺され
息子である
マグマドグマも生命を
狙われることとなった
あやつは生命からがら
逃げ出して
ワシの元へと来たのじゃ
そう
八人の魔法使いのひとりじゃ
ライスワイフも
そのひとりじゃな
その時の想いが
このような事態を
引き起こしてしまったんじゃろう
また歴史を繰り返してしまった
ワシは長いことこの世で
生きて来たが
その生命ももうすぐ潰える
お主にワシの使命を
託さねばならんの
そんな
こんな呆気なく終わるなんて
賢者だろう
もう少しなんかないのかよ
ヒトの生命なぞ
どんなに生きようとも
終わる時は一瞬じゃ
終わりまでの道が
長いか短いかだけの話じゃ
ワシの使命は果たせなかったが
後世にこの話を残しておくれ
そしてお主が話の続きを
紡いでおくれ
ドミニスリヤの顔は
すうっと
青白くなった

◆ 戦利品 ─【賢者の意志】

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