ガニメデ大佐の映像記録 ② - 不思議な少年 -

「貴様は何者だ?」
── ガニメデ大佐


暗がりの奥から
見知らぬ少年が歩いて来た


「きみたちが天使と呼ぶ存在さ。
それと、ここは願力が直接的に作用するから、
魔法は使わない方が良いよ。
いつもと比べものにならないくらいの威力で発動しちゃうからさ」
── 天使の少年


少年は自らのことを天使と称したが
どこからどう見ても
普通の人間だった
翼も生えていないし
頭の上の輪っかも見当たらない

ただひとつ
ミナミたちと異なる身体的特徴を
あげるとすれば
耳の形が丸いことだった


「ここは天国かどこかなの?」
── 樹木呼びのミナミ
「う〜ん、天国ではないかなぁ。
なんて言ったら良いんだろ。
いちから説明しなきゃいけないの、面倒くさいなぁ」
── 天使の少年


ガニメデ大佐とミナミは
少年の言っている言葉が
一向に耳に入らなかった

辺りは一向に真っ暗闇だし
確かに天国のイメージとは
まったくもって程遠かった


「あなた、一体ここへ何しに来たの?」
── ミナミ
「う〜ん、手荷物検査かなぁ、ここにへんなもの持ち込まれても困るし」
── 天使の少年


そう言うと
ふたりを注意深く
物色し始めた


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