気知れた仲間の見知らぬ姿【Miracle Fanta詩 Ⅱ 289】

「おい…なんだありゃ。
ダイヤモンド男がこっちに向かってくるぜ。
こんな状況で敵襲は勘弁してくれよ…!」
── 幻術の鷹匠、ホークジョウ


ダイヤモンド男はゆらゆらと
ゆっくりこちらへ向かって来ている

ホークジョウは
隠遁魔法を展開しながら
幻術魔法を威嚇発現させた

幻術の鷹は
ダイヤモンド男に当たったように見えたが
何事もなかったかのように
こちらへ向かって歩いて来る

いよいよ隠遁魔法を潜り抜け
ホッキョクの元へ近づいた


「どうしたの?!何が起きたんだ?!
ホッキョク!大丈夫なのかい?!」
── ダイヤモンドの少年、アストン
「大丈夫も何も、オメェの方が大丈夫かよ!
なぜホッキョクのことを知ってやがる!」
── ホークジョウ


ホークジョウは警戒しながら
ダイヤモンド男に尋ねた


「もしかして…イワモトか?」
── 意思号の船長、ライスワイフ


その瞬間アストンは
ダイヤモンドの涙を流しながら
ライスワイフに抱きついた


「姐さん!さすが姐さんだ!!
やっぱり分かってくれると信じていたよ!!
僕、自分の名前が分かったんだ!!
僕の名前は…」
── アストン
「おい、今どんな状況か分かってんだろうなぁ。
お前の顔についてるそのふたつのもんは、単なる飾りかなんかか?あ?!」
── ホークジョウ


アストンは
ホークジョウの言葉に戸惑ったが
自分の非を認めて謝った

とても喜ばしいことを
引っ提げて戻って来たのに
それどころじゃない状況に出会して
自分の喜ばしいことが
邪険に扱わてしまったことに
彼は深い悲しみを覚えた


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