ぬいぐるみ屋のワタヌキ
なんだこの甘いものは
ザンパムはあまりの美味しさに
驚愕した
これはなんて名前の食べものだ
これは何って
アメ玉だよ
知らないの
こんなもの初めて食べたぞ
へぇ変わった子
ここがぼくの店だよ
といっても性格には
ぼくの父親の店だけれどね
今はぼく修行中なんだ
店内にはずらりと
たくさんのぬいぐるみが
陳列していた
今のこんな世の中じゃ
こんなもの買いに来る人なんて
珍しいくらいだけれど
でもきっと
ちょっとの癒しくらいは
提供出来るんじゃないかって
信じているんだよ
あ
ぼくの名前はワタヌキ
勝手に連れて来てごめんね
とってもステキな
ぬいぐるみだったからつい
あたしはザンパム
ここにあるのは
あんたが作ったぬいぐるみかい
そうだよ
とってもかわいいでしょ
そこに並んでいたのは
どう見ても怪物にしか見えない
ぬいぐるみだった
ぬいぐるみというよりも
綿を詰めた怪物だった
アイウェオに興味をもつのも
うなづけるほどの悪趣味だ
これはどこで手に入れたんだい
クスグッタイ
うわ喋った
ワタヌキはびっくりして
腰を抜かした
こいつはぬいぐるみなんかじゃ
ないんだよ
正真正銘の怪物さ
しかしこころは天使のようだ
ここで見たことは
誰にも言うんじゃないよ
言ったらあんたを
ぬいぐるみに変えてやるからな
ザンパムは店を立ち去ろうとしたが
ワタヌキが制止した
◆ 戦利品 ─【アメ玉】
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