苦肉の策【Miracle Fanta詩 Ⅱ 283】

白雪の大軍スノーマンズの本拠地
冬籠りのクジラ号船内にて
ホッキョクの処置は続いていた

発明家ドブナガは発明七つ道具で
そこら辺にあった鉄屑を
アイロンみたいな形に整形した


「……ライスワイフ、プラズマを分けてくれ。
……くれぐれもボクに流さないように」
── 発明家、ドブナガ
「任せろ。絶対死なせんじゃねぇぞ!」
── 意思号の船長、ライスワイフ



ライスワイフはドブナガの作成した
アイロンのようなものに
自身のプラズマ魔法を流した

それからドブナガは
それをホッキョクの胸元に押し当てた

意識を失ったホッキョクは
ゴム人形みたいにビヨンと跳ねた

しかし
意識は戻らない
そればかりか
出血が激しさを増していた


「私たちはどうやら場違いそうね。
おいとましようかしら」
── 石薔薇の魔女、モントローザ


モントローザとニガマトは
また別の脱出ルートを探しに行った

ホークジョウは流れる血液を見て
不意に幻術呪文を唱えた

ホッキョクの血液は虚空に霧散し
真っ赤な蝶に変わり
空中にストックされていた


「……キザなやつめ」
── ライスワイフ


ライスワイフは
呆れたように言った


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