普通の主婦がなぜトライアスロン? 【 起 】
43歳。ロードバイクに出会う
事の発端はコロナ禍突入直前の世の中が平和で自転車の市場も落ち着いていた頃「自転車部にはいらない?」の一言だったと思う。
それまでにやってきた運動は……年に1度くらいのペースで思いつきでマラソン大会に出ているくらい。しかも、練習などろくすっぽせずにだ(笑)
熱烈!? なトリミ自転車部(佐賀のカーショップトリミ内のサークル)から『乗るのも楽しいけれど飲むのももっと楽しいよね』という誘い文句が魅力的で、当時ザルだった私はすっかりその気になって、自転車カタログを見せてもらい、即”カッコイイ”とときめいたフレームに出会ってしまった。ホリゾンタルのクロモリでイタリア製。
これだ!と思ったら突き進む私の性格が大いに発揮された。
自転車部のみんなの反応は「アガリのバイクだよ」「いきなりそこにいく!?」って感じだったけれど、私は自分の好きなものに乗りたい気持ちを曲げられない……メンバーが協力してくれて、もう少し安価なエントリーモデルなど色々な自転車屋さんからカタログを集めてきてくれた。それでも納得できなかった私を見かねて、ある小さなショップに連れて行ってくれて、ようやく前進!
飯塚のサイクルガレージプローバ(当時は桂川町にあった)の店長は私がときめいたイタリア製フレームの取り扱いに長けている人物で「お客さんが楽しく乗ってもらえる自転車を作りたい」と、私の救世主となった。
店長「ところで、自転車は乗ったことある?」
私「あー、、、小学生の頃そろばん塾に通ったくらい。と、20代の頃に折り畳み自転車ちょっとだけ」
店長「いきなり高価なロードバイクは、乗らなくなっちゃったらもったいないし……」
私「言われてみれば、そんな気も」
店長「先ずは自転車に乗るところからはじめてみたら?」
私「なるほどー」
店長「将来ロードバイクを買った時に同じようなものを2台持っているのもつまらないだろうし、街中気軽に乗れるミニべロがいいんじゃないかな」
私「ミニベロ…?」
自転車部に誘われてから5ヶ月後には組んでもらったかっこいいミニベロで初めての天草グループライド60kmを満喫。自転車に乗る楽しさに目覚め、アニメ「弱虫ペダル」を何度も観て勉強して、Twitter(現X)やYouTubeで情報収集。中でも篠さんの『山は性癖です』のタイトルがキラリと光って見えて、私も山を登れるようになりたいって思うきっかけに。峠を時間をかけてえっちらおっちら登るようになっていた。
運動は好きな方だし、何より達成感がハンパない!
風や地形を感じて走るのが気持ちいい!
そんな2020年夏、東北に住む父親がクロスバイクで転倒し第五頚椎損傷。全身麻痺の寝たきりになった。母親と二人暮らしだったため、私が福岡から手伝いに行くことに。色々な手続きの補助やら家の改装の手配、母親の心労を癒すことと、発声が不自由になった父親の言葉を聞いて周囲に伝えるのが私の使命だった。私の仕事はWiFi環境とPCがあればどこででもできるし、寛容な主人が「行っておいで」と背中を押してくれたおかげで、ゆっくり6ヶ月間両親と実家で過ごし、在宅介護に慣れて日々のルーティンができてきたのを見極めて福岡に帰り、そのまま自転車屋さんに「私のロードバイク、組んでください」と伝えた。
”自分の人生は自分で楽しむ”
楽しみを覚えた頃に活動自粛期に突入……グループライドもみんなで参加したかったイベントもなくなり、一人で黙々とペダルを漕ぐことに。
世の中では"ソーシャルディスタンス"などという言葉をみんなが使うようになり、自由に動く体があるのなら思う存分に楽しみたいという思いが強くなっていた。ミニベロで1年過ごしたし、いい頃合いだったと思う。
2021年1月、「4月には自転車に乗り始めたい」と店長に伝えロードバイク発注。体力づくりのためにとエントリーしていた3月の名古屋ウィメンズマラソンに10年ぶりにフルマラソン挑戦。まぁ、この流れがトライアスロンに舵を切る最大のきっかけとなるのだ。
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