見出し画像

短期シェアリングの限界

パリに駐在で住んでいたアパートの前に電動キックボードのシェアリングサービスができたようです。グーグルストリートビューで見たら地獄みたいな有様になってました。先日出張したデュッセルドルフもここまでひどくはありませんでしたが、それでも放置車両が散見されました。

「シェアリングやサブスクサービスは向いている形態と向いていない形態がある」という単純な事実がここに出ていると考えています。縛りをゆるく(=キックボード系)すればモラルのない使用状況を招き、縛りをきつく(=日本のシェアカー系)すれば「1時間使用したいだけなのに開始手続きと終了手続きに15分ずつかかる」という本末転倒を招きます。

そして、電動キックボードのシェアリングはもともとCO2排出量の大きな自動車の利用を、キックボードに振り替えていくのが最大の目的のはずなのですが…実際使ってる人は「もともと自動車を町中で使わなさそう」な人ばかりに見えるのは気のせいでしょうか?

交通事故のリスクを犯してこの手の新しい乗り物を使うなら、自動車の利用を削減しないと意味がないように思えます。

そこで、日本の社会で「ある程度自動車の利用を削減」させるための手法を検討してみました。

条件1:現在日本の既存インフラであり、利用者が減少している鉄道網やバス網を利用する。削減させるターゲットは「自動車通勤」である。

利用者が減少している大きな理由の一つは「運賃の高さ」にある。自動車を使用する上で多くの人が変動費として捉える「ガソリン消費量×ガソリン単価」を遥かに上回っているからです。

全体としては売上が下がっているため利益確保として運賃を上げざるを得ないのですが、乗ってくれなければ売上も利益も0です。ここで考えるべきポイントが「限界利益」です。

すでにホテルや航空運賃では採用されている考え方であり、単純に顧客の少ない状況では単価を「変動費は賄えるレベルを限界として」下げ、顧客の多い状況では単価を上げて需要の過熱を抑えます。鉄道業界でこの考え方が採用されない理由は「顧客に不公平感を招く」からであり、現在では高齢者や障害者の方にのみ特別料金が採用されているケースが大半と思われます。

今回の考え方では「通常自動車で通勤しており、勤務先からその証明書が発行された場合に限り」シルバー運賃と同じレベルの運賃の(平日限定)回数券を販売します。おそらくこれでやっとガソリン代と肩を並べるレベルになり、「週に何日か」自動車から電車に振替検討できる余地ができます。

ただし、駅から勤務先への距離が今度は問題になります。

条件2:そのため、付帯サービスとして「通勤証明書を確認した場合に限り」駅からのレンタサイクルを月額固定料金+割引で提供します。通常のレンタルサイクルであれば会社にいる時間が利用時間として計上されてしまいますが、月額固定であればこの問題は生じません。この場合、目新しい技術である電動キックボードを使わなくても、乗りなれた人が多い自転車(整備されていれば古いもので十分)で事足ります。

勤務中自転車を保管することになりますが、常に人がいる勤務先に置くことになりますので盗難リスクは低く、同時に借り手が身分を明かしているため紛失や粗雑に扱うリスクは相応に低減されます。

今までのインフラやサービスの組み合わせですが、これでもし週に一回を電車通勤に振り替えた場合、CO2は20%削減になります。週二回なら40%。どんな優秀なハイブリッドカーやEVでも、新規の設備(新車)を利用しない以上、まずかなわない削減率となります。

また加筆するかもしれませんが今日はこのあたりで。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?