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クレルモン・オーヴェルニュ事件

こんにちは。

 フランスのラグビーの強豪のクレルモン・オーヴェルニュには、日本の松島幸太郎選手が所属していたことから注目があつまりましたね。

 さて今日は、ラグビー試合中に負ったケガについて、相手選手への損害賠償が可能なのかが問題となった「クレルモン・オーヴェルニュ事件」(Jugement n°519 du 15 Novembre 2007)を紹介したいと思います。


1 どんな事件だったのか

 フランスのラグビーチームであるクレルモン・オーヴェルニュに所属する選手は、フランスのクレルモンフェランで行われた練習試合に出場していました。対戦チームであるイギリスのロンドンワスプスの選手が、ボールをもって突進してきたため、その突進を止めようとクレルモンの選手がタックルしたときに、ワスプスの選手の危険なチョップにより負傷してしまいました。そのため、クレルモンの選手がロンドンワスプスの選手とクラブに対して損害賠償を求めて提訴しました。

2 クレルモン・フェラン大審裁判所第1民事部の判決

 スポーツにおいて、プレーヤーが他のプレーヤーに損害を与えた場合、スポーツルールの違反に明確な違法性があれば、加害プレーヤーは被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。スポーツをしているプレーヤーがある程度の危険を引受けているという理論は、プレー中に通常予測される危険を超えた違法性のあるプレーについては適用されない。
 よって、ワスプスの選手とクラブは、被害を受けたクレルモンの選手に対して、4か月間にわたって試合出場ができなかったことについて15000ユーロ、入院や治療中にギブス生活を強いられたことについて2000ユーロ、後遺症について3000ユーロ、食べ物を満足に食べられない苦痛について6000ユーロ、傷跡が残ったことについて2000ユーロ、精神的なショックについて10000ユーロを支払え。

3 クラブの損害賠償責任

 今回のケースで裁判所は、ラグビーの試合中の事故について、重大なルール違反により相手選手にケガをさせた場合には、その加害者である選手のみならず、所属クラブも連帯して、被害者に損害賠償責任を負うとしました。
 日本でも、スポーツクラブが管理監督者としての責任を負う可能性があるので、十分に注意する必要があるでしょうね。
 では、今日はこの辺で、また。


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