見出し画像

マックコーヒー事件

こんにちは。

 アメリカのマクドナルドのドライブスルーで注文するときに、店員さんの英語のなまりがキツいのに苦労したことがあるのですが、マックシェイクの上にホイップクリームがてんこ盛りだったので、食べるのにも苦労しましたね。

 さて今日は、マクドナルドのコーヒーでやけどしたことで裁判になった「マックコーヒー事件」(Liebeck v. McDonald’s Restaurants)を紹介したいと思います。

1 どんな事件だったのか

 1992年、79歳のステラ・リーベックは、孫と一緒にマクドナルドに行き、ドライブスルー買ったコーヒーを膝の間に挟んで、クリームと砂糖を入れようとしていました。ところが、カップのフタを手前に引いたところ、すべてのコーヒーが膝の上にこぼれて、3度という重度のやけどを負ってしまいました。しかも、ステラが入院することになり、治療費が100万円もかかったり、娘が介護のために仕事を辞めたりするなど、多大な損害を被りました。そのため、ステラはマクドナルドを相手に損害賠償を求めて提訴しました。

2 ステラの主張

 マクドナルドが提供したコーヒーは、82~88度と熱すぎるわ。家庭用コーヒーメーカーの設定は75度ぐらいだし、カップにもやけど注意の警告をしていなかったので、これは明らかに欠陥です。以前にも、同様の事故が700件も起きていたにもかかわらず、マクドナルドはそれを放置してきた。これは明らかにマクドナルドに過失があると思います。

3 マクドナルドの主張

 やけどは、彼女自身の不注意の結果であり、当社の責任ではありません。やけどの事故は、当社が毎年提供する数十億杯のコーヒーと比較して非常にまれな数しか生じていない。しかも、うちのコーヒーは、他のファーストフード店よりも熱くはない。

4 ベルナリオ郡地方裁判所の陪審員評決

 マクドナルドのコーヒーが約85度と家庭用コーヒーメーカーのものよりも約13度高く、コーヒーを渡すときに注意喚起をせず、カップにも注意書きをしていなかった。マクドナルドに80%、ステラに20%の過失があることから、過失相殺により、マクドナルド社に治療費を含む16万ドルの填補賠償以外に、マクドナルド社のコーヒーの売上高の2日分に相当する270万ドルを懲罰賠償として支払え。

5 高額な懲罰賠償

 今回のケースで陪審員は、マクドナルドのコーヒーを膝にこぼしてやけどをした女性に20%の過失があるが、熱々のコーヒーを注意喚起せずに提供したマクドナルド社に約3億円の支払いを命じる評決を下しました。
 ステラはその後に、マクドナルドと示談をして約5000万円を受け取ったようですが、アメリカでは「コーヒーをこぼしただけで3億円を受け取れるアメリカンドリーム」といった偏向報道がなされていることは非常に残念ですね。
 では、今日はこの辺で、また。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?