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地元東京バイアス

東京は広い。ひとえに東京育ちと言っても、23区出身と市内出身の差は雲泥の差だ。それぞれ経済環境も暮らしやすさも異なるので一概には言えないけど、そんなのも丸々ひっくるめて東京育ちと定義する。

その都道府県という大きな括りで言えば、あたしは東京育ち東京生まれの人間なのですが、幼少期は川遊びや山の湧水を飲んだり、友だちの犬が猪に襲われて死んだり、かなり田舎の東京である。あと、東京へすぐに行ける距離(例えば千葉、神奈川、埼玉など)の人は「東京を中心に暮らす人」という意味である意味東京出身ともいえるなぁとか。

東京は憧れる場所なんかではなくただ生活するための場所って思っている自分と、夢を追って東京に出てくる人のやる気も元気も活力も何もかも違うと思ってしまう。

地方のきらめき、東京のざらつき

高校生までは地元、大学生になり実家を出る人は結構多いのではないだろうか。だから、入学式の時に少しびっくりする。大学入学を機に上京してきた子たちのきらきらさに。

とにかく純度が違う。目の透き通り方が違う。
これからの生活にワクワクしてるんだなぁと見るからにわかって、心の内側がうずうずする。
ああ、何にも染まるなよ、とか、上から目線に考えてしまうこともあった。私たちはどんな目の色をしていたんだろう。

一度は憧れる田舎暮らし

高校生のときはやたら「自然と暮らす」「田舎暮らし」というものに憧れた。「一度はさ、田舎に住んでみたいよね〜」とクーラーガンガンの部屋で話すこともあった。
私たちにとって田舎とはジブリの世界である。
緑が生い茂り、動物がひょこひょこやってきて、夏にはひまわり畑に囲まれる。そんなのを想像している。
それは正解ですか?そんな場所で育ったら、虫も植物も好きになるんだろうけど、私たちは害虫と雑草に悩まされるだけだった。

帰省タックス

「実家へ帰る」
GWや年末年始になると聞く言葉だ。
心底羨ましかった。先述したジブリの世界に行けるんだもんな、と思っていた。東京なんかよりも、海や山の恩恵を受けた食べ物は心底うまいんだろうなとか、帰る場所が別にあるのはいいなとか思っていた。

実際、本当に鮮度も違うしうまいものは多いと思う。しかし、金がかかる。
新幹線や飛行機で帰るとなると、往復2〜3万以上するんだろう。そんなの旅行である。旅行で金を使いたいと思う。東京から帰る金額が数百円の私と、数万円じゃ経済的負担がとんでもなく違う。でも、こっちで暮らす目標や目的があるならそれは必要タックスなのかな(泣)支援金をあげて…とも思う。

車すら乗りこなせない生活力

車=あると便利だが維持費かかるキツイもの、というイメージがある。ファミリーがいたら持つものだ。はじめも続きもお金がかかる!そんなこんなで、東京の人たちは免許合宿に行き、車の免許をとり、乗るわけもなくただ身分証明書と成り下がったカードを見せびらかすだけだ。歩いたらコンビニがあり、水が届き、ウーバーイーツが頼める。適当にしてても何となく生きられる。生活力が低迷していくのが見える。

東京のひと、好きなことをして生きる大人が多いような

東京に住んでいて音楽や芸術活動に傾倒する人を間近でみてきたし、個人事業主が多い地域柄で育ってきたから、「好きなことをして生きる」という価値観の中で生きることができる。

むしろ、公務員?会社員?そんな社会に縛られてたまるか!みたいな卑屈な大人に囲まれて生きているのでアタシも捻くれまくっている。

「安定」は夢、「好きなことをして生きる」人の現実、そういうのを間近にすると、何が正解なのかわからないけど、飯を食えてたまに笑えていたらいいのかも。もっと好きに生きればいいのかもなって思ったりする。

しかし、本当にやりたいことを夢見て東京にでてきた行動力ある人には一生勝てる気がしない。

コンビニがないよりも新宿がないほうがしんどい

きらきら新宿ウォーキングレズビアンとしては、コンビニが少ない田舎よりも、二丁目がないという事実の方が何百倍も辛い。

あたしは東京が好きというより、この街がすき。混沌した必死に生きる人間臭さが漂うこの街が好きだ。これがなくなってしまうことが怖くて、東京からひたすら出られないわけだ。

そんないいわけをして、今日もひっそりとこの土地で息をする。なんでもある都市、なんにもない毎日をなんとなく生きている。

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