ザボン

柑橘類の中で一番好きなのは何か?と聞かれたら、私は「ザボン」と答える。

でも、そう「答える」とはわかっているものの。「何でそうなるのか」は自分でもよくわからない。


実は我が県はぼちぼち柑橘王国で、いろんな柑橘類を目にすることも食べることもあるのである。

青森出身の夫からしたら、スーパーに並ぶ柑橘類の種類の多さは地元と「違うところ」なのだそうだ。いつも沢山の種類が並んでいるし、新品種もバンバン出ているイメージで。「聞いたことないな」ってものを他の野菜や果物と比べてよく見る気がする(他の野菜や果物があまり名前を全面に押し出していないだけかもしれない)。

妹の嫁ぎ先がフルーツ農家で柑橘類も作っているので、毎年5、6種類持ってきてくれたりもする。

だからそれなりにいろんな柑橘類を食べてきているし、「これ美味しいな!」って思うことは結構あるのだ。


でも一番好きな柑橘類は?って聞かれたら、「ザボン」って答える。文旦じゃなくてザボン。違いがよくわからないけど(同じものらしい?)、私の中では好きなのは文旦じゃなくて「ザボン」なのである。


でも何で「一番好き」と答えられるのかが正直わからない。

確かに「美味しい」けど、紅まどんな的な「何これ!?こんなのある!?」って程の感動は無いし。

少なくとも甘い系のものでは無い。かと言って酸味が強いわけでもない。特別ジューシーってわけでもない。特徴らしい特徴を思いつかない。

皮は分厚いし。更に下の白い層も分厚いし。食べるまでに手間と時間がかかる。あえて言えば、見た目の大きさは魅力なのかも?(剥いたら結構小さくはなるが)

そういう特徴を考えていけばいくほど、「何で好きなんだろう??」と不思議さが増していくのである。


最近、もらう機会があったので、久しぶりに食べた。

やっぱり剥くのに時間がかかる。でもこの、なかなか剥けない皮を剥くのって「挑んでいる感、ワクワク感」があって私は好きなのだ。下の白い層の分厚さも何か好きでのけるのが楽しいのだ。

味も、目立ったところは無いかもしれない。でもサッパリしてて、特徴が無いのが逆に「食べやすい」のかも。紅まどんなが「特別な日のごちそう」なら、ザボンは「白いご飯」的な。日常っぽい感じがいいのかもしれない。


と、いろいろ理由を考えてはみたものの。何だかんだ言っても、食べてて「好きだな」と思うのが一番の理由になるのかなぁ。「これ物凄く好き!」じゃなくて「何かぼんやり、でも確かにそこにどっしりといる好き」。


たぶんこれからも私は、「一番好きな柑橘類は?」って聞かれたら「ザボン」って答えるだろうなと。

ただそれだけのお話。



ではまた明日。