10年の距離
その日、私は仕事が休みだった。夫の仕事も休みだった。
特に休みを合わせたわけではない。たまたま休みがかぶったのである。
息子も休みなら皆でどこかに行こうーとなるけど、あいにく保育園の行事がある日。夫婦2人で過ごすこととなった。
「せっかくだからどこかに行く?」
「じゃあ行こうか」
どうにも夫は私と見たい場所がいろいろあるらしく。夫の運転でいくつかの場所に行ってきた。
途中、休憩がてら海の方に寄ってみた(別にここは一緒に行きたかった場所ではないらしい)。
瀬戸大橋。
ゴールドタワー。
飯野山(真ん中の山)。
ここは丸亀の海辺。
個人的に丸亀は何か苦手というか進んで足を運びたくなる土地ではなくて(特に何かあったわけでもないけど何となく昔から行くのに気力が必要)。ここも来たことがなくて。この配置でこの3つを見られるのは何だか新鮮だった。
普通ーに夫と話しつつ、景色を見つつ。
こういう場所を歩く時って、付き合ってたり付き合ってなかったり、な相手と一緒なら、あれこれ距離を考えるのかなぁとふと思う。
自分と相手の適切な距離。ソーシャルなディスタンスをとっているのか、拳1個分くらい近付いているのか、それとも肩が触れ合っていて、何なら手まで繋いでいたりするのか。
お互いの関係によっていろいろなのだろうし。相手との距離にいちいち悩む時もあるのだろう。
今の私たちは、一言で表すならきっと「自然」だ。特にくっついて歩いたりはしない。でもどちらかがくっつきたくなれば抵抗も葛藤もなくくっつくだろうし、相手はそれを特にドキドキすることもなく普通ーに受け入れるだろう。
これが夫婦の距離なのかなぁ、と何となく思う。
そういえば私たちが初めて直接会ったのは、丸亀だった。9年前の11月の話である。
あの時は普通ーに友達の距離だったのではないかなと思う。歩く距離はそんなに今と変わらないかもしれないけれど、相手に対する思いも関係の呼び方も、随分変わったのではないかなぁと思う。
もっといえば、10年前のこの頃は。夫がこの世に存在することすら全く知らなかった。
ツイッターで「全然知らない人からリプきてるな…」と思いつつ返事をしたのは、ログによれば10年前の11月12日。
その人、将来夫になるらしいですよ。相手との距離をあれこれ考えず、普通に自然に隣にいられる人になるらしいです。
うーん。不思議。とても不思議である。
誰との出会いもそう。どこかで何かをキッカケに出会って、その時その時で何となくお互いの距離におさまって、そしていつか別れる時がくる。
出会いは沢山あるけれど。中には夫のように、近くにいることが自然になる人もいるのだなぁ。
他の人と何が違うのか、何が違ったのかはよくわからないけれど。
この距離でいられる人がいる不思議を何となく感じたお出かけだったのであった。
ではまた明日。