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うえののそこから「はじまり、はじまり」荒木珠奈展へ


東京都美術館で開催中のうえののそこから「はじまり、はじまり」荒木珠奈展へ行ってきた。楽しかったからは勿論、色々思うところがあったので二週連続で。多分あともう1回は行きたいと思っている。

珠奈さんはメキシコがご縁で知り合ったNY在住のアーティスト。パンフレットの紹介文にもあるように「へんてこ可愛い」を生み出す平面から立体まで操る天才少女。いや、実際には私と同級生だから少女という年齢ではない。でも、永遠の少女のような可愛らしいイメージの彼女自身同様作品からも、つい、そう呼びたくなってしまう。

記憶のそこ

会場に入ってエスカレーターを下ると、更に右下方向に大きな鳥かご?カボチャの馬車?のような巨大なオブジェが見えてくる。展示は地下室のその場所に辿り着くまでの順路に銅版画、大小様々なインスタレーション、映像等、盛りだくさんの作品たちが並んでいる。あれもみたいこれもみたいと、やや興奮していた私は、わくわくうろうろキョロキョロ挙動不審だったに違いない。

初期の頃からの銅版画の作品もずらり
私のお気に入りの作品のひとつ 玉けり
!piñata!

珠奈さんといえば、メキシコにゆかりがあるアーティストとしても知られ、メキシコをテーマにした作品も少なくない。その作風は、ステレオタイプ的なカラフルで派手なメキシコのイメージとは異なり、素朴さとあたたかみを感じさせる描写や色使い、素材選びも印象的だ。

また、斬新で重たいテーマのものでさえ、目尻が下がってしまうような可愛さ、抜け感のようなものがある。光と影、表と裏、と言ったような対極の世界観の一体化が、もしかしたら、へんてこ可愛いと呼ばれる理由のひとつなのかもしれない。

旅(手前)/ Caos Poetico 詩的な混沌 (奥)
家型の紙の箱のデザインがどれもカワイイ

過去に、メキシコで展示されたCaos Poetico(詩的な混沌)を、ずっとこの目で見てみたかった。この作品はメキシコシティの貧困地区で、電柱から盗電している家々の灯なのだと、近くにいらしたケエジンと呼ばれるファシリテーターさんが説明してくれた。この淡くて儚ない美しい光の裏に、そんな重たいテーマが隠れているのは、いかにもメキシコをよく知る珠奈さんらしいなと思った。

珠奈さんが幼少期に暮らしていた団地の灯りがイメージだそう
好きな番号の鍵を持ってお部屋?を開けにいこう
私が開けたのはこちら。中には人々の暮らしが垣間見れる。
蝶々のようなテント 中にも入れるよ
珠奈さんが制作に携わったアニマリートのアニメーションも上映していた
細部までヘンテコかわいい世界
記憶のそこ

さて、あちこち珠奈ワールドをうろちょろしているうちに、最後は地下室で巨大な鳥かご(?)がお出迎え。中に入ってみると、いったい私は今、世界のどこに存在しているのだろう?そこで何を見ているのだろう?と言う不思議な気持ちに包まれた。

若くして他界した私の父は、実は、つい最近までこのエリアの墓地に眠っていた。なので、幼い頃からお墓参りの帰りに上野辺りを家族で散策したものだった。まさか、上野という土地に大きな古墳があり、縄文文化が栄えていたということは、今回の展示で初めて知り驚いたのだけど、上野とメキシコ、想像もしてみなかったけれど実はプリミティブな文化で繋がっているのか?古代メキシコ展を上野でやっているのも、偶然ではなかったのか?うえののそこで、一人そんなことを妄想していた。

オリジナルグッズまで可愛すぎる ショップで珠奈ピアスって呼ばれていた。なんだかぴったり。


うえののそこから「はじまり、はじまり」荒木珠奈展
東京都美術館
2023.7.22(Sat) - 10.9(Mon)
https://www.tobikan.jp/hajimarihajimari/

荒木珠奈さんHP
https://studiotamana.com/

荒木珠奈さんInstagram
https://www.instagram.com/tamana_araki

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