ポイントはアイキャッチと立体感?「美味しそう」なおせちを20~70代男女に印象調査
今回は、20~70代の男女に「美味しそうな」おせちと「美味しそうではない」おせちの違いについて印象調査(※) を行いました。その結果、「美味しそう」な印象のおせちには、いくつか特徴があることが分かりました。
一体ナゼ、この特徴だと「美味しそう」なのでしょうか?
注)本調査は「商品の印象」と「ユーザーの思い」の関係について調べるものであり、価格や効能については考慮していません。
この調査はこのような人におすすめ
バイヤーさん
マーチャンダイザーさん
デザイナーさん
企画開発者さん、など
思い込みに頼らない戦略を立てたい方
サービス企画において人の感性という視点を取り入れてみたい方
感性、印象の調査に興味のある方
🔍本文中の※マークの用語は【記事に出てくる用語集📚】で説明しています
1. 20~70代の男女が選ぶ 『美味しそう』 なおせちランキング!
様々なおせちのサンプル20個に対して「美味しそう・美味しそうではない」を5段階評価(※) で20~70代男女に回答してもらい調査したところ、以下(図1)のようなおせちが上位に選ばれました。
色々なタイプがありますが、これらのおせちが「美味しそう」なのは一体なぜなのでしょうか?
2. 『〇〇〇〇』な、おせちが美味しそう?
「美味しそう」について相関(※)の高い項目(図2)を調べてみると、以下であることが分かりました。
「華やかな」
「信頼感のある」
「高級感のある」
「ボリューム感のある」
「フレッシュな」
これらの項目の値が大きくなれば「美味しそう」度も上がるため、「美味しそう」にとって要チェックな印象の要素と考えられます。
反対に、「美味しそうではない」と相関が高い項目は「淡白な」「ソフトな」「ヘルシーな」でした。
3. おせちのどこを見てるの?20~70代の男女の 『視点』
因子分析(※) でおせちの印象の構造について調べると、20~70代男女は次の項目に強い反応を示していることが分かりました(図3)。
1軸:「ボリューム感のある」
2軸:「親しみがある」
3軸:「フレッシュな」
これらは今回調査に協力してくれた20~70代男女がおせちの印象を判断する時に、主に何に着目しているか、といった「視点」のようなものになります。
4. おせちの印象を決める『3つの軸』
強い反応を示している「ボリューム感のある」「親しみがある」「フレッシュな」に、それぞれの項目と関連性の高い項目(図4)も合わせて解釈して、3要素=3軸の名前を付けました。
1軸:「ボリューム感のある・高級感がある」 ⇒ ⇒ 「ボリューミー軸」
2軸:「親しみがある」 ⇒ ⇒ 「親しみ軸」
3軸:「フレッシュな・個性的な・華やかな」 ⇒ ⇒ 「フレッシュ軸」
これら3要素=3軸は、おせちの印象を定義づけるものです。各要素の重みづけがそれぞれのおせちの印象を決めています。
5. MAPで比較する!おせちの『傾向』
おせちの印象を決める3軸で作成した因子得点マップ(※) (図5~7)に クラスター分析(※) (図8)の結果を反映しおせちのサンプル写真をポジショニングすると、以下の様になりました。
印象の近いおせち同士はグループ化され、マップ上に同じカラーで表示されています。
この因子得点マップを見ると、おせちの様々な印象の特徴を見てとることが出来ます。
グループごとに特徴や傾向が見えてくる最適な数を確認。今回の調査では4グループに分けることがと適正と判断しました(図8)。
6. おせちの印象の類は『4つ』
今回の分析では、おせちの印象の類には4つのグループがあることが分かりました。
以下は、それぞれのグループ内で見られる特徴や共通点を加味してグループ名をつけたものです。
7. 20~70代の男女にとっての「美味しそう」なおせちの『特徴』とは?
記事冒頭で紹介した「美味しそう」なおせちランキングの上位にあるおせちの印象グループを確認してみるとほぼ「豪華おせちグループ」であることが分かりました。
このことから「美味しそうなおせち」と「豪華おせちグループ」の関連性が高いことが伺えます。(図9)
「豪華おせちグループ」をメインに観察してみると、ランキング上位に来るおせちには以下の様な特徴があること分かりました。
■主役を張るお料理がある
■量が多そうに見える
■色のコントラストが綺麗な食材の配置をしている
■立体的な盛り付け
■種類が沢山あるように見える詰め方
まとめ. 20~70代の男女が「美味しそう」と思うおせち
今回の調査の結果、20~70代の男女にとって「美味しそう」なおせちは、おもに「豪華おせちグループ」ようなおせちであることが分かりました。
また以下のように、20~70代の男女が「美味しそう」と思うおせちの具体的な特徴を抽出することが出来ました。おせちを作る機会があったらぜひ参考にしてみてくださいね。
それではまた次のトレンドマガジンでお会いしましょう~!
おまけのはなし
今回のおせちの調査で面白いと思った点は、おせちに使われているお料理は、洋風中華風の変わり種おせちグループと、メインのお料理を用意してあるおせちを除けば、どのグループもだいたい同じような定番のものを使用していて品目にあまり差がなかったところです。
重箱の段数、色・形、食材の詰め方、配分、配置場所などの見せ方によって、豪華にも上品にも印象が変わるのがおせちでした。
おせち料理の起源は弥生時代までさかのぼり、暦の節ごとに食料の収穫を神様に感謝してお供え物をする「節供(せちく)」がおせち料理の原点で、奈良時代のころには暦の節日に行われる儀式のあとのお祝い料理として朝廷などで食されてたそうです。
江戸時代の頃になると、暦のなかでも一番重要視されていた節日であるお正月に、お祝い事のお料理を食す文化が庶民にも浸透していき、おせちが一般的になったそうです。重箱に詰めるスタイルになったのもこの頃からのようです。
はじまりは神様へのお供え物だったはずと思うのですが、1年で一番の節日であるお正月に、家族や友人、ご挨拶に来られたお客様とみんな楽しく一緒に食べられるお料理であれ!!という人々の思いがどんどん現代のような豪華なおせちの形にしていったのかもしれないですね。
調査概要
調査情報
調査方法:Web調査
解析の種類:因子分析+クラスター分析
調査地域:全国
調査対象者
条件性別:男性 女性
年齢:20~70歳
調査配信:2022年8月
回収数:100件
調査パネル協力:株式会社アスマーク(パネル保持数:8万人。2022年8月現在)
調査実施機関及びキュレーション:ホロンズ株式会社
調査のやり方
さまざまなおせちを20個(図10)
説明変数(※) の「形容詞の対語セット」(おせちの印象の構造を調べるため)
ソフトな ⇔ ソフトではない
淡白な ⇔ 濃厚な
ボリューム感のある ⇔ ボリューム感のない
個性的な ⇔ 個性的ではない
信頼感がある ⇔ 信頼感がない
親しみがある ⇔親しみがない
高級感がある ⇔ 高級感がない
華やかな ⇔ 華やかではない
フレッシュな ⇔ フレッシュではない
ヘルシーな ⇔ ヘルシーでない
目的変数(※) に「美味しそう ⇔ 美味しそうではない」(「美味しそう」と「おせちの印象構造の関係性」を調べるため)
これらを用意し、調査票(※) (図11)を作成した。
モニターには、サンプル画像を1枚ずつ見てもらいながら、セットの言葉1つずつに5段階尺度(※) で回答してもらった。
注)この調査では、価格や効果効能等の要素は考慮しておりません