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~再びフランスへ~日本代表×Y-3が生み出したストーリー性

本日からワールドカップ最終予選がスタートする。2026年の本大会に向けてメンバーの人選も気になるところだ。

そして今夜の中国戦はサムライブルーとして新ユニフォームのお披露目の場でもある。
今回は日本代表の新ユニフォームについて深掘りしていきたい。

6月に発表されてからパリオリンピックで使用されたことは記憶に新しいが、国際オリンピック委員会の規約によりエンブレムではなく日本国旗がデザインされた仕様を着用していた。

新ユニフォームが発表される度にデザインの良し悪しが議論されるが、今回も例に漏れずという印象を受ける。カタールワールドカップの躍動のイメージも強く以前の方が良かったと言う気持ちも理解できる。

私はナショナルチームのサッカーユニフォームはデザインと同様にコンセプトが大事だと思っている。今回の日本代表のデザインはコンセプトに共感できるし何よりもストーリー性が高いと感じている。



山本耀司氏について


かねてから実現が望まれていたコラボレーションがついに実現した。
デザインを担当したのはファッションデザイナー山本耀司氏。
過去にレアル・マドリードのユニフォームやラグビーニュージーランド代表オールブラックスのシャツを手掛け世界の目の肥えたユニフォームコレクターを唸らせた。
私は日本代表のユニフォームをいつか担当してほしいと密かに願っていたのだが、次回作のユニフォーム制作の一報が飛び込んできた時には心が躍った。


コンセプトは公式リリースを参照

コンセプトは「FIRE(炎)」。
各カテゴリー日本代表ユニフォームを通して一貫したモチーフとなる炎のグラフィックは、ヨウジヤマモトによるデザインで、サッカー日本代表が持つ揺るぎない強さ、そして日本という国が持つ神秘的な力を表現しています。一つひとつの炎は選手やサポーターを表し、各々の想いが渦を巻き集まって「炎の目」となり、その力がサッカー日本代表の力として高く舞い上がる様子を表現しています。

ホームユニフォームはダークネイビーを基調に、温度の高い「青い炎」をモチーフにしています。これは、完全燃焼をいとわないサッカー日本代表のプレースタイルからインスパイアされたもの。ユニフォーム全面にあしらわれた、うねりを上げる小さな炎が一つの大きな火柱へと成長するグラフィックは、それぞれのプレーヤーが一つになった瞬間、チームとして凄まじい力を発揮するサッカー日本代表の底力を表しています。

https://jfa.jp/national_team/u23_2024/news/00034064/



山本耀司氏とはどんな人物なのか。
私が紹介するのはおこがましいが経歴を説明すると、日本を代表するファッションデザイナーのひとりでYohji Yamamoto(ヨウジヤマモト)の名前でブランドを展開しており、世界的評価を受けている人物である。

慶應義塾大学と文化服装大学卒という異色の経歴を持つ。文化服装大学卒業後1972年に自身の会社ワイズを設立。1981年にYohji Yamamotoブランドで第1回パリコレクションデビューを果たす。1994年フランス芸術文化勲章シュバリエ、2004年紫綬褒章、2005年フランス国家功労勲章オフィシエなど多くの賞を受賞し、名実ともにファッションの本場に広く認められた存在である。

固定概念に対する反骨精神を表現した黒を基調とするデザインと独自の路線はそれまでの西洋のファッション業界の常識を覆した。



Y-3について


新ユニフォームを見て見慣れないロゴに驚いた人も多いのではないだろうか。今回のユニフォームのサプライヤー部分は通常のアディダスのパフォーマンスロゴではなく、Y-3というロゴを使用されている。クラブレベルではパリサンジェルマンのJORDANとのコラボレーションなど年々増えてきているが、ナショナルチームでの展開は世界的に見ても目新しく初めての取り組みだと言える。

Y-3(ワイスリー)とはYohji Yamamotoのブランドの一つである。
アディダスと共同開発しているプロダクトでYohji Yamamotoの頭文字の Yと、 adidasのシンボルの3本線を組み合わせ「Y-3」という名付けられた。
スポーツウェアをエレガントでシックに、これまでにないデザインをというコンセプトが詰められている。先ほど記述したレアルマドリードの21-22シーズンと23-24シーズンの4thユニフォームにもY-3が使用されている。

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今までにないプレゼンテーション方法


私が衝撃を受けたのはプレゼンテーション方法だ。
これまでの日本代表では新ユニフォーム発表会を報道陣を入れ発表していた。
それが今回はなんとフランス・パリで開催されていたパリ・ファッションウィークのY-3ブランド2025年春夏コレクション内でサプライズ発表された。


ホームユニフォームをU-23日本代表の藤田譲瑠チマ選手、アウェイユニフォームをなでしこジャパン長野風花選手それぞれが着用しランウェイを歩いた。





今回の新ユニフォームはエンブレムが中心に配置されているところも大きなインパクトを与えている。これは普段着として着る際に上着を羽織ってもエンブレムが映えファッションとして機能することを考慮したとJFAのYouTubeチャンネルのteam cam内で語っている。

近年ではブロークコアと呼ばれるサッカーユニフォームをファッションに取り入れ普段着として楽しむことが流行している。
今でこそファッションにスポーツ要素を取り入れることは当たり前となったが、当時あったファッションとスポーツは交わらないという固定概念を覆した存在こそがY-3と言われている。

日本国内では海外のユニフォームを着用するのが主流だが、今回のユニフォームが裾野を広げることに一役買うといちサッカーユニフォーム愛好家としてはうれしい限りだ。

レプリカユニフォームには裏面に山本耀司氏のサインがプリントされている。写真と実物では印象が変わって感じた。まだ購入迷っている方もこの機会に是非手に入れていただきたい。




新ユニフォームについて個人的見解


冒頭で触れた今回の日本代表のユニフォームデザインはコンセプトに共感できるし何よりもストーリー性が高いと感じた。と述べた部分に関して私の印象を述べたい。

なぜ今回Y-3に制作を依頼したのかが気になっていた。それはフランスというキーワードに重点を置いたからであると思う。

山本耀司氏が1981年以降パリコレクションで発表を続けておりフランスの舞台で日本を代表して第一線で活躍している。

コンセプトにあるFIRE(炎)という単語を見たときに1998年のワールドカップで日本代表が着用したシャツを思い浮かべた。
日本が悲願のワールドカップ初出場を果たしたメモリアルな大会であり、両袖と全体的な透かしに炎がデザインされたユニフォームは大きな反響があった。
その開催地はフランスだった。


そして今回のモデルは、フランスで開催されるオリンピックで使用された。その繋がりから炎を再現したデザインにしたと推測している。
これ以上にないタイミングのコラボレーションとなったと感じる。

1998年の炎ユニフォームを山本耀司氏のアプローチで再構築したデザインで固定概念に捕らわれず世界の舞台で躍動してほしいというメッセージだと解釈している。


過去と現在そして未来を繋ぐストーリー性がある美しい1枚だ。


再びフランスの地で戦った日本代表は男女ともに最終成績は5位という結果に終わりメダルには届かなかったが、この悔しい経験をバネにして再び情熱の炎を見に纏いワールドカップの舞台へ向けて羽ばたいてもらいたい。

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