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絵本日記DAY11 ひえひえペンギンホテル

お盆が過ぎれば東北の夏はおしまい。そんな方程式のようなものがなんとなく存在するのだけど、盛岡にもまだまだ夏は居残っています。

この絵本はもっと夏真っ盛りの頃、商店街の本屋さんの二階でまるでクーラーの涼をもとめるように、気づいたら手にしていました。

出てくるのは、ペンギンがはたらくホテルに来る(たぶん)お金持ちのセレブ動物たち。「ごうかきゃくせん」っていうことばは声にすると、ぐっと憧れ度が増す。

それにしてもペンギンさん、ホテルマンの格好が似合うこと似合うこと。もともと白黒の燕尾服着てるみたいだからかなぁ。

見た目だけではありません。このホテルマンたちはサービスのプロ。精鋭部隊。徹底しています。ペンギンすべりというのかしら、腹ばいで滑りレストランで食事しているアザラシが落としたワイングラスをすんでのところでキャッチ。ステージではシルクハットをかぶり華麗なショータイム。廊下はつるつるの氷でできているので滑って移動します。だって、よちよち歩くのより圧倒的に速いんだもの。それで次のお客様に更なるサービスを提供できる。ここまでパーフェクトでキュートなホテルマンって、ちょっと見たことがない。

今年の夏は旅行ができなかったから、この絵本でファンタジーホテルにおでかけして涼むのも素敵です。この夏中も、ずっと頑張ってくれているひとたちに、涼と感謝の気持ちをおくります。

大好きなさんさ踊りの太鼓や笛のおと、なぜだか胸がきゅうっとなる甲子園のサイレンのおと。いつもの夏の音がないのがたださみしかった。さみしかったけど、やっぱり東北、朝晩はノースリーブだと二の腕がひんやりして毛布をかけたりしてる。

すこしずつだけど、ちゃんと秋が近づいてる。ひとつのものごとが終わって、次の季節がちゃんとやってくる。そのことにどこか、ほっとしている自分もいるのです。


ペンギンホテル 2017年11月15日初版発行

作者 牛窪 良太 発行所 アリス館


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