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コズエの鬼ゴリ絵本日記

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出逢った絵本の考察や感想をここに書きためています。(鬼ゴリ:動詞。鬼のようにゴリゴリと書く、の意。いまだ鬼はあらわれておりません)
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2020年7月の記事一覧

絵本日記DAY10 BANANA

久しぶりに、ときめく絵本に出会いました。 バナナ。私の活舌が良くないせいもあるのだけど、なんだか間の抜けた名前の音。 すいかは麦茶とセットで夏休みと結びついている果物だし、箱に詰められたさくらんぼは昔ひいおばあさんがくれた赤い宝石。 バナナはこれといって特別なエピソードがあるわけでもなく、オールシーズン気づけばそっと台所にいてくれる、親しげのある存在。 それからあの素朴でやわらかな、ぬらっとしたあまさ。 そんなバナナが、じいちゃんとばあちゃんであること、さらにその人

絵本日記DAY9  Wave

鬼のようにゴリゴリと更新するはずの絵本日記、鬼が留守のあいだに気づけば7月に。積み重ね、だいじにしていかなくちゃ。 今日の絵本は「Wave」。波。 子どもの頃は、こういう文字が一切ない絵本はあまり好きではなかったというか、退屈に感じていた。 でも、今ならばわかります。 この絵本には、文字はいらない。 なぜなら寄せては返す波の音を聴きたいから。 ざぶん、ざざざ。ざぶん、ざざざ。 ときどき、カモメの鳴く声。貝殻が砂に連れていかれ、しずかに戻される音。 ひとりの女の