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絵本日記DAY10 BANANA

久しぶりに、ときめく絵本に出会いました。

バナナ。私の活舌が良くないせいもあるのだけど、なんだか間の抜けた名前の音。

すいかは麦茶とセットで夏休みと結びついている果物だし、箱に詰められたさくらんぼは昔ひいおばあさんがくれた赤い宝石。

バナナはこれといって特別なエピソードがあるわけでもなく、オールシーズン気づけばそっと台所にいてくれる、親しげのある存在。

それからあの素朴でやわらかな、ぬらっとしたあまさ。

そんなバナナが、じいちゃんとばあちゃんであること、さらにその人生の先輩方が歳を重ねることの魅力を伝えてくれる、とっても愛おしい絵本です。

じいちゃんバナナは古くなった皮を脱ぎ捨て、チョコレートのお風呂に浸かりチョコバナナに大変身。

ばあちゃんバナナは冷凍バナナへと華麗に転身。その凍ったうぶげについた霜はまるでシルバーヘアーのようにキラキラ美しい。

そんなおばあちゃんの姿を見たじいちゃんバナナ、うっとりしてチョコがすこし溶けちゃってます。

ご近所のじいちゃんもばあちゃんも、バナナフリッターにバナナトースト、バナナマフィンにバナナ大福・・・なかなかファンキーな姿に変身しとっても嬉しそう。

その笑顔を見ていたら、歳をとることなんてぜんぜんこわくない、むしろとってもたのしみだと思える。熟練バナナの背中、見せてもらいました。

背表紙は、そんなおとなバナナに憧れる孫バナナくん。鏡を見てほんのり黄色くなってきたことにドキドキワクワク。

3歳のちびっこ軍団とこの絵本をみたら、一人のおしゃまな女の子が「ねむったからじゃない?」と、ひとこと。

そう、たしかに最後の場面で、じいちゃんバナナになったときを思い浮かべてベッドでこっそり笑うバナナくんの姿があったのです。

絵本を閉じた瞬間の子どものひとことには、いつもぜったい敵わない。

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チャイルドアップル傑作選vol.18-5 じいちゃんバナナ ばあちゃんバナナ

作・絵/のし さやか


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