「自分を生んでくれた両親に感謝した方がいい」という言葉の呪いについて
こんにちは、月子です。
20代後半で転職3回し、今は未経験ながらもエンジニアを目指しております。
私には前職で大変お世話になった上司の方がいます。
年齢は10以上離れているのですが、気が合い、今でも時々飲みに行ったりします。
彼のことは心から尊敬していて、いつかこの人みたいになりたいという、憧れの指針になっている人です。
彼の意見は99%受け入れ、盲信的なところもある私ですが、一つだけ反論したことがありました。
それが、両親との関係について。
話の発端は、彼の奥様の妹さんについてでした。
妹さんは大学の時に実家の広島を出て、東京へとやってきました。それから広島へほとんど帰らず、東京で旦那さんと一緒に暮らしているようです。
理由としては、妹さんの父親がなかなかに破天荒だったのが挙げられます。
お金の使い方が荒い、酒癖が悪いなど、家族全員を悩ませるタネとなっていました。お母様は、そんなお父様をたしなめながらも、耐えて耐えて、子供2人を育て上げたそうです。
妹さんは、そんな父親が嫌で東京に出て、家族とは、ほとんど顔を合わせない生活に突入しました。
上司は言います。
「妹さんに言ったことがあるんだ。
自分を育ててくれた両親なんだから、ちゃんと帰るべきだって」
私はその言葉を聞いた時、心にトゲが刺さったような感触がしました。
妹さんの気持ちが痛いほど分かりました。
そして憧れている上司と私の間に「家族の価値観」の溝が大きく開いているのを感じました。
私の両親の話をしましょう。
両親は数年前、離婚をしています。
彼らが不仲だったのは、子供の頃からです。嫁姑問題、金銭問題、性格の不一致、あらゆる問題が家族に押し寄せてきました。
私は子供の頃から、「父親の悪口」を聞かされて育ちました。
2人が怒鳴りあって喧嘩していたことも幾度となくあります。
これは断言するのですが、不仲である両親の1番の被害者は子供です。
私としては離れて暮らせばいいのに、2人は言うのです。「子供のために離婚はしない」と。
憤る気持ちでいっぱいでした。お前らのせいで、私は何度も泣いて、苦しんだのに、親は子供の「ために」離れられないと言うのです。まるで自分がいるからこそ、離婚ができないんだと責められているような気持ちでした。
私は私立の高校や大学に行かせてもらったし、ご飯を食べさせてもらえなかったこともありません。ただ両親が不仲だっただけです。でも本当に毎日が辛かった。
社会人になった今、家族は落ち着くべきところに落ち着きました。
2人は離婚し、母親は妹と暮らしています。
父親は新しい彼女と都内のマンションに暮らしています。
用があれば実家に帰ります、今までほとんど喋らなかった父親とは、彼の願いで月に一回食事をしています。
両親と恨むことはありません。それは育ててもらったから、ではなく、両親のために自分の時間を使うのがもったいないからです。
もし「お金あげるから両親と勘当しろ」と言われたら、私は平然とできます。
そんな私にとって、
「育ててくれた両親に感謝しなさい」は呪いの言葉です。
なぜ呪いなのか
自分自身、理屈では「感謝しなくちゃいけないと分かっているから」です。
世間一般的には「両親に感謝」は是です。正解です。答えです。
しかし自分はどうしても感謝ができません。
している部分もあります。学費を払ってくれたこと、ご飯を作ってくれたこと、物質的な感謝はあります。でも、世間一般的な「親子との繋がり」が持つ、「温かくて、優しくて、決して切れない繋がり」に感謝できる日はおそらく来ないでしょう。
そんな私にとって「親へ感謝しなさい」という命令は巨大な力を持ちます。
「世間一般的には正解なことなのに、自分にはできない」という現実の再認識させる言葉です。
だから、私は、この言葉が辛い。
私はこの言葉を部活動の友人に言われたことがあります、
似たような言葉を主人にも言われたことがあります、
憧れの上司もそのような価値観だと分かりました。
「私のこと何も知らないのに」と怒りの気持ちは生まれません。
「家族の価値観」が違うんだな、と認識し、一縷の寂しさが生まれるだけです。
相手がどうでもいい人なら、距離を置きますが、
大切な人であれば「価値観の相違」を伝えます。
理解させるためではなく、そんな価値観を持っているのだと知ってもらうために。
家族に感謝できない人が、家族の温かさが分からないように、
温かい家族で育ってきた人は、家族に感謝できない人の気持ちは分からないと思うからです。
家族というのは、本当にあらゆる形を持ちます。
どんなに虐げられても、両親を愛する子供もいるでしょう。
どんなに愛されても、両親と絶縁したいと思う子供もいるでしょう。
だから、お願いです。
「両親に感謝すべき」という言葉を、
なるべく簡単に言わないで欲しいのです。
真綿のように柔らかく、温かい命令は、家族に感謝できない人たちの首を、ゆっくりと締め上げます。
きっと「両親に感謝できる家族に生まれたかった」
そう願ってる人がほとんどだから。
何も言わずに寄り添ってくれれば、何よりも嬉しい。
両親では感じなかった繋がりを持てた、主人や、憧れの上司と話していると、ひしひしと思うのです。
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今夜の晩酌にて、発泡酒がビールになります。ありがとうございます。