ゆらゆら動くファン・ゴッホは、角川武蔵野ミュージアムにて。

画像1 JR武蔵野線に乗って行って来たよ、角川武蔵野ミュージアム。最寄り駅は「東所沢」ね。少し歩くと、突然に隈研吾建築都市設計事務所設計のシックな建物がドーンと見えて来る。その昔この辺りに住んでたので、こんなのが出来るようなエリアになったんだね、とちょっと違うところで、感動。なんか、デート中の人たちがいっぱいいて、こっちまでその幸せ気分をもらえるような、そんな空間。
画像2 お目当ては、「ファン・ゴッホ ー僕には世界がこう見えるー」展ね。いきなり真っ黄色! 自画像が並んでて、ここで写真も撮れるよ。撮影用のひまわりも用意されてるから、それを手にファン・ゴッホの世界に同化しちゃうってもの、良いよね。とにかく、この迫りくる黄色に圧倒され、しばし佇んだのでした。
画像3 さて、いよいよ動くエリアに突入。薄暗い会場内には、座るとこと4つほどハンモックがあるよ。四方をファン・ゴッホの絵画が映し出され、動いて揺れて・・・。ものすごく小さく環境音楽系の音が流れているのだけれど、鑑賞を邪魔しないから落ちつける。ハンモックにも座ってみたけれど、座るスペースより、映像に近いのでなんとなく独り占めしているような気持ちにもなれる。ゆらゆら揺れて、良い気分。こちらは私の好きな「星月夜」の雰囲気ね。
画像4 「花咲くアーモンドの木の枝」も、ちょっと暗くするとこんな感じに。オリジナルの背景は、コバルトブルー系なんだけど、こんな幻想的な雰囲気になるなんてね。ファン・ゴッホが療養中に、弟のテオに子供が生まれ、そのお祝いにと描いた作品。どんな気持ちで筆を動かしたのか、想像するだけで胸が痛くなる。自分はこんなで弟はあんなで・・・と思う気持ちの傍らで、もちろん祝う気持ちもたくさんだっただろうから・・・。
画像5 大好き! タンギー爺さん。こっちまで笑顔にしてくれるタンギースマイルが、なんとゆらゆら動いてるんだよ! もちろん背後の浮世絵も一緒に。タンギー爺さんは、いつも映っているわけではないので、次に映し出されるのを、座って待っている時間は、至福。彼がいなければ、絵具を調達できなかったファン・ゴッホ。そうなっていれば、後世の私たちも彼の絵で癒されたり、心ざわつかせたりできなかったわけで。本当に、ありがとう! タンギー爺さん!
画像6 迫り来る色々なタイプのひまわり。コラージュとして楽しみたい。徳島の大塚美術館では、焼失してしまった一枚も合わせて、全7作品が一堂に展示されてるけれど、それと同じくらいの圧巻度。下を向いてたり、ちょっとしおれてたり。もちろん満開の状態も。圧倒的なその黄色は、やっぱり私に元気をくれる。本物は、SOMPOとロンドンナショナルギャラリー美術館の2つしか見たことないけれど、いつかフィラデルフィア美術館のも見てみたいな。
画像7 映写の会場を抜けると一気に現実が待っていて、ファン・ゴッホに関する色々なものが展示されてるよ。これは、歌川広重「名所江戸百景 大はしあたけの夕立」のファン・ゴッホによる模写だよ。すべて正確にトレースしてるようだけど、やっぱり背景の色にファン・ゴッホらしさが出てると思うけど、どう? 額縁の文字は、苦労の跡があちこちに。やっぱり、絵より文字の方が模写するのは難しいのかもしれないね。
画像8 この写真は、悲しい・・・。2人の兄弟は、並んで埋葬されてるんだね。成長した葉っぱで隠されてるけど、その下には没年が刻まれていると思われる。それを見たら、さらに悲しくなっちゃうだろう。テオは、ファン・ゴッホの後を追うように翌年に天国へ。タンギー爺さんと共に、テオがいなかったら、やっぱりファン・ゴッホは絵を描き続けることはできなかったはず。だから、テオにもありがとう!
画像9 さすが角川のミュージアム。ファン・ゴッホの年表もこんな感じのヴィジュアルで。デート中の若い人たちには、こんな感じの方が親しみやすくて良いと思うよ。ショッキングな「ピストルで撃つ」などの言葉で会話もはずみそう。私が若い頃にここに来ることができていたなら、どんな気持ちになっていたかな? きっとファン・ゴッホのことを詳しく知らなくても楽しめたと思うし、これがきっかけで彼の生涯に興味を持ったかもしれない。そういう仮定を想像するのも、楽しいひとときだったよ。
画像10 実は、最初はファン・ゴッホの作品、辛かった。特に「アイリス」系の狂気にも似た絵具の重ね塗りを見た時、具合が悪くなってしまったことも。だけど、それほどに人の心を動かすエネルギーを秘めていると言うことでもあり。そのうち、「星月夜」や「夜のカフェテラス」などが好きになって、原田マハさんの「たゆたえども沈まず」や「リボルバー」で彼の深さを知って、今では大切な大切な人生のお友達となりましたとさ。そう、一番のありがとうは、ファン・ゴッホに!

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