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料理の基本

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基本的な料理を丁寧に解説します
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2018年3月の記事一覧

アスパラガスのゆで方を復習

今日のテーマはアスパラガス。種を植えてから収穫まで3年かかるという不効率な野菜です。農家の方が手間をかけて育ててくれた野菜、せっかくなら美味しく食べたいもの。基本の茹で方をマスターして春の味を堪能しましょう。 今日、用意したのはグリーンアスパラガスです。他にホワイトアスパラガスがありま すが、これは品種ではなく栽培方法の違いによるもの。そのまま育てるとグリーンア スパラガスに、遮光して育てるとホワイトアスパラになる、というわけ。 まずは茹でる前に付け合わせの準備です。

タケノコのあく抜き考察

「大根おろしで筍のアク抜き」という記事の続きです。インターネットを検索すると多数のhow to 記事が出てきます。一般的なタケノコのゆで方(アク抜き)は〈穂先を切り落とし、米ぬかと唐辛子と一緒に茹で、そのまま冷ます〉というものです。 例えば『プロが教えるたけのこのゆで方。ぬかなしでもアク抜きできる!』(FOODIE)という記事には とありますが、赤唐辛子を入れることに科学的な根拠はないことはすでに説明しました。はたして米ぬかはそれほど重要な働きをしてくれるのでしょうか? 

試作品「サツマイモのチュロス」の作り方

サツマイモがあったのでこれをなにかおやつにできないか、と考えて浮かんだのがドーナッツ。ドーナッツには発酵生地、無発酵生地、シュー生地の3パターンがありますが、今回は無発酵生地を選びました。 サツマイモのチュロス  サツマイモ 400g  砂糖    30g  小麦粉   30g  卵黄    2個  粉糖   適宜 まだ試作品の段階のレシピです。サツマイモは皮を厚めに剥き、軽く水にさらしておきます。 これをやわらかくなるまで茹でました。あるいは蒸してもいいかもしれません

大根おろしで筍のアク抜き

タケノコは春を代表する食材。 よほど新鮮なものならともかく、筍はそのままでは食べることができません。独特の アクがあるからです。筍に含まれるアクの正体はホモゲンチジン酸。里芋にも含まれ ている成分ですが、量が多いのでこれをなんとかする必要があります。 このホモゲンチジン酸。採れたてであれば量はさほどでもないので、そのまま茹でる、あるいは焼いてもおいしく食べられるのですが、収穫してから時間が経つにつれて酵素によってホモゲンチジン酸は増えていきます。タケノコの下茹での目的はあ

舞茸のポタージュの作り方

基本のピュレスープの作り方シリーズ。今日の材料は舞茸です。必要な機材はミキサー。というか、キノコのポタージュはミキサーの進化によって格段においしくなりました。キノコ類にはあの厄介なデンプンが含まれていないので、ミキサーに長くかけても大丈夫。簡単に滑らかな舌触りを得ることができます。 舞茸のポタージュ 2人前 舞茸 180g相当 バター 20g 水  200cc 牛乳 300cc 塩  小さじ1/4  胡椒 舞茸は旨味が多いキノコ。スープに向いています。 舞茸は手で細

ローカロリーのホワイトソースを考える~きの ことささみのシチュー~

寒い日においしいシチュー。 シチューにはデミグラスソース味のビーフシチューとホワイトソース(ベシャメルソース)をベースにしたクリームシチューの2種類がありますが、手軽なのは後者ですよね。ホワイトソースの作り方は以前にも紹介していますが( ホワイトソースの作り方、い ろいろ)基本的には バター1:小麦粉:1牛乳:10 がおいしくつくる基本。例えば700ccの牛乳に対してバターが 70g、小麦粉が70g入る計算になります。この配合はおいしいのですがカロリーが高いのが難点。単

シンプル・アクアパッツァの作り方

イタリア生まれの魚料理、アクアパッツァ。 イタリア語で「狂った水」という意味のナポリ料理です。この料理、他のイタリア料理と同様に起源が不確かな料理です。漁師さんが海水を使って魚を煮込んだことに由来する、と説明されたり(塩水だと塩っぱすぎると思いますが)します。語源としてはもともと「狂った水」はトスカーナでワインを地主に納めてしまった後、残った茎や種、絞りかすを水で延ばして発酵させた粗悪なワインを指す言葉だったそう。 アクアパッツァを成立させるのに必要な要素は魚と水。上記の由

ティラミスの作り方

ティラミスはイタリア料理の定番デザート。オリジナルを考えだしたのは トレヴィーゾの有名リストランテ、レ・ベッケリーエとされています。(異論もあるようなのですが、とりあえず一番有力とされる説です)ワシントン・ポストの記事には信頼性のある話として「子供が生まれた女性(とその子供)に元気をつけるために考案した」という風に書かれています。店で出されたの は1970年代のはじめのこと。歴史のない新しいデザートがあっという間に世界に広まったのですからすごいものです。 ところでレ・ベッケ

パイナップルの皮の剥き方とおまけ

先日、スーパーに行ったら1個、298円でパイナップルが売られていました。その隣にはカットパインがあって、量が少ない割にこちらは1パック268円。自分で切ったほうがやっぱりお得というわけで、パイナップルの切り方の復習です。 買う前に2点、確認しましょう。 1. 甘い香りがして 2. 触ってみると軟らかい感じがする ものなら大丈夫。色よりも香りと硬さで見分けます。というのもパイナップルは追熟しないので、買った日が基本的には食べごろだからです。 まずはへたの部分をつかみます

じゃがいものガレットは時間をかけて焼くと美 味しい

今日はじゃがいものガレットをつくります。フランス語でpommes paillasson(ポム パイヤソン)と呼ばれる料理です。ちなみにパイヤソンとは藁(パイユ)でつくった靴ふきマットのこと。 このじゃがいものガレット、今回はシンプルにハーブを加える程度で仕上げていますが、なかにオイルサーディン、コンビーフ、ハムなどを入れると豪華になります。 じゃがいものガレット  じゃがいも 500g  セージ 半パック  にんにく 1片  バター 30g  オリーブオイル 少

基本のブリの照り焼き(惣菜風)

冬も終わりというのにブリというのも恐縮ですが……ご飯のおかずになるブリの照り焼きを作ります。 ブリの照り焼き 2人前 ブリの切り身 2枚 塩      少々 照り焼きのたれ 醤油   大さじ2 酒    大さじ2 みりん  大さじ2 砂糖   大さじ2 写真は3枚焼きますが、レシピは2人前の分量です。このタレの分量で4人前まで焼けます。キッチンペーパーでブリの表面の水気を拭き取っておきましょう。 たれの分量はすべて同割。大さじ2ずつです。混ぜておきたくなりますが、我慢し

喫茶店のナポリタンの作り方、プロの味に近づけるための工夫をいくつか

なぜか美味しい料理に喫茶店のナポリタンがあります。作家の片岡義男さんは「ナポ リへの道」という本のなかで、こんな風に語っています。 スパゲッティナポリタンは米軍が持ち込んだトマトケチャップと日本の洋食文化が出会い、大衆食として労働者の胃袋を支えた料理。敗戦から占領、そして戦後の日本を体現したような味です。諸説ありますが、スパゲッティ・ナポリタン発祥を標榜しているのは横浜にあるホテルニューグランドです。ただ、文献上、ケチャップでスパゲッティをあえるナポリタンは戦前から存在して

いちごとフレッシュチーズはおいしい組み合わせ

小粒ないちごが出回る時期になりました。 この時期のいちごは露地物で、酸味を生かして料理やジャムなどするのに適しています。いちごと相性がいいのはクリーム類。ホイップしたクリームを添えるだけでデザートになりますが、今日は料理に使います。いちごとチーズを使った前菜です。 『Foodpairling仮説』(同じ芳香化合物が含まれている食品同士は相性がいいという仮説)でもいちごとチーズの相性の良さは証明済み。いちごに最も多く含まれている香り成分はエステル化合物(酪酸エチル、酪酸メチ

基本のマンゴープリンの作り方

マンゴープリンはプリンと名前がついていますがゼリー系のデザート。八十年代の香港生まれとされていますが、日本に入ってきたのはマンゴーの輸入が解禁された90年代のこと。 マンゴープリンのレシピには大きく分けると「卵(カスタードソース)入り」と「卵なし」「マンゴーがピューレ状」「マンゴーの果肉感あり」があります。今回、紹介するレシピは卵なしで、果肉感を残すパターンです。 マンゴープリン  冷凍マンゴー  200g(今回は写真の冷凍マンゴー2袋)  グラニュー糖  30g〜40g