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料理好きのための21世紀料理教室

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低温調理、エスプーマをはじめアルギン酸のカプセルなどの分子料理のテクニックを解説していきます
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2018年1月の記事一覧

カブのソテーをジューシーにする下処理

冬はカブが美味しい季節。焼いたカブは美味しいですが、火を通しすぎた......という経験はありませんか? 今回はそんな失敗を回避し、カブをジューシーに仕上げる下処理をご紹介します。 小カブを使います。表面をよく洗い、へたを少し残して、葉を切り落とします。 葉は捨てないでください。水にしばらくつけておくとへたの部分が開いて土が落ちや すくなります。必要なら竹串などで土を落としましょう。 根のついているほうを切り落とします。カブは皮の下に硬い繊維が走っています。 ペティナイ

ビーツの寿司風

ここ数年、ガストロノミーレストランで流行した料理に「ビーツの寿司」があります。日本人的には「?」が頭に浮かぶ不思議な寿司ですが、ビーツのビビットな赤い色と若干、鉄っぽい風味がすし飯と調和します。 ビーツの色素は付着するとなかなか落ちません。ですから手袋をして、まな板の上に はオーブンペーパーなどを敷きましょう。 このビーツ、硬いので基本的には火を通して食べます。今回はカブなどと同様に頭とお尻を落とし、皮を剥いています。 火の通し方には色々とありますが、今日は茹でます。今

プリン作り講座 〜座学編〜

定番のおやつ、プリン。作り方の前にまずは少し座学。プリンの味を決定するのは配合と加熱温度ですが、まずは配合について。 インターネットでプリンのレシピを検索すると全卵を使っているものと、卵黄、卵白をそれぞれ使っているもの、牛乳だけ、牛乳に生クリームを混ぜたものなど、様々な配合のプリンが出てきます。基本的に卵黄を多く配合するとやわらかめのまったりとした味に、 卵白が多いとかためのさっぱりとした味になります。 つまり昔風のプリンは全卵で、滑らかプリンは卵黄中心の配合というわけです

リンゴの薄焼きパイの作り方

秋から冬はリンゴの季節。今日は市販のパイシートを使って、リンゴの薄焼きパイをつくります。 リンゴの薄焼きパイ  りんご 1個(大きいものなら 小さい目なら1個半は必要かもしれません)  グラニュー糖 大さじ1  バター    大さじ1  パイシート  1枚 バニラアイスクリームかキャラメルアイスクリーム(ハーゲンダッツ製) 元ネタはジョエル・ロブションの『リンゴの薄焼きタルト』です。ロブションのレシピは薄焼きパイ、リンゴのコンポート、リンゴの薄片という構成で円形に一人前ず

キクイモとマッシュルームのコンソメ(と冷凍濾過法)

コンソメの話を続けます。今日は最新式のコンソメのお話。 ここ数年、ガストロノミーレストランで出されることが増えた料理に野菜のコンソメがあります。野菜のコンソメの歴史は浅く、先駆的な存在としてはオーストリア、シドニーの『Tetsuya's』で提供されている『トマトと紅茶のコンソメ』があります。 世界に影響を与えたのはやはりパリ『アルページュ』の『野菜のコンソメ』でしょう。『アルページュ』のオーナーシェフのアラン・パッサール氏は野菜料理のスペシャリストで、様々な傑作料理を生み

低温調理における安全性、リスクとどう向き合うか(その2)

ChefstepsのJouleやAnovaのThe Anova Precision Cookerをはじめとする”Sous Vide(低温調理)”のクッキングガジェットが比較的安価に入手できるようになり、またそれを扱ったウェブの記事が増えていくにあわせて「低温調理の安全性」に不安を感じたり、危惧するコメントやツイートも見受けられるようになりました。この記事は前回に続いてSous videの安全性とリスクとどう向き合うかについて、特に今回は私自身が参照しているウェブサイト(ダグラ

低温調理における安全性、リスクとどう向き合うか(その1)

ChefstepsのJouleやAnovaのThe Anova Precision Cookerをはじめとする”Sous Vide(低温調理)”のクッキングガジェットが比較的安価に入手できるようになり、またそれを扱ったウェブの記事が増えていくにあわせて「低温調理の安全性」に不安を感じたり、危惧するコメントやツイートも見受けられるようになりました。この記事ではSous videの安全性とリスクとどう向き合うかについて、私自身が参照している書籍やウェブサイトの紹介を交えながら個人

市販のブイヨンからチキンコンソメをつくる

市販のブイヨンキューブのテイスティングをしましたが、今日はそれをベースにコンソメを作ります。コンソメは風味豊かな琥珀色の液体。マギーキッチンサイエンスによるとConsomméとは元々、フランス語で「消費する」「使い切る」という意味の言葉で、肉の煮汁をとろりとするまで煮詰めていた中世の習慣からきたものだそう。 辻静雄は大著『フランス料理研究』でスープやソースの起源について〈ラ・ヴァレンヌの書き残しているブイヨンまでもとりあえず考慮に入れてその淵源を辿って見る必要があるかもしれ

市販の固形ブイヨンを比較

先日、スーパーを歩いていると調味料コーナーで固形ブイヨンの類が並んでいました。たくさんの種類がありますが、きちんと比較したことがなかったので、今日は固形ブイヨンについて考えてみます。 とりあえず近所のスーパーで手に入った固形ブイヨンと固形コンソメを並べてみました。本来、コンソメはブイヨンをベースにひき肉と野菜、卵白などを加えて 加熱し、透明に澄ませたものを指しますが、日本で市販されている固形コンソメの類は洋風だしくらいのニュアンスで受け取っておいたほうが良さそうです。 それ

トリュフ風味のスクランブルエッグ 赤ワインソース

『究極のスクランブルエッグ』で基本を学んだので応用編です。スクランブルエッグとはキノコがよくあいます。新鮮なキノコを炒めて添えるだけでもいいのですが、トリュフ風味にしてみます。 今回はフレンチの名店『コートドール』のメニュー『トリュフ風味のかき卵』からヒントを頂き、赤ワインソースを添えました。 トリュフ風味のスクランブルエッグ 赤ワインソース  卵 3個  生クリーム 大さじ1  牛乳    大さじ1  トリュフソース 10g(小さじ1強) 赤ワインソース  赤ワイン  

低温で24時間加熱すると豚の肩ロースも柔らかくできます

豚の肩ロースはなかなか難しい肉です。というのも動物がよく動かす部位なので筋肉が発達しています。ということは味が濃い反面、コラーゲンが多く、加熱すると硬くなりがちということ。その弱点を補うために薄切りにすることが多い(生姜焼きにするとおいしい部位です)わけですが、この部位を軟らかいステーキにできたら経済的。 肉のタンパク質にはおおまかにいってミオシンとアクチンの二種類が調理に大きく関 わっており、そして肉の硬さはコラーゲンの量によって決まります。。(参考『鶏のブレゼをマスター

ユリ根のロースト バニラ風味

先日、有楽町の交通会館の地下にある北海道美瑛町のアンテナショップ「丘のまち美瑛」を訪れた時、店頭で大きなゆり根が売られていたので購入しました。 ゆり根は衝撃に弱く、なにかにぶつかったところからダメになっていきます。また、乾燥にも弱く、さらには水気も厳禁というデリケートな野菜。だから、おがくずに包まれて販売されてます。 実はこのユリ根。植物学的には根ではなくて隣茎(球根)なので、根ではなくて葉が 変形したものです。栽培には時間がかかる作物で植え付けまで3年かかり、畑に植え付