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インベーダー友達
学生の頃から人付き合いが苦手で、いつも友達が欲しいと思っていた。
友達がいなかったわけではないが、グループで1人ポツンとなることが多くなってから、人を寄せ付けない雰囲気を出し、1人でいることを選ぶようになった。
大人になり、留学に行ったり海外就職をする中で、数は少ないものの、友達に巡り合うことが出来た。
しかし、それもなんだかしっくりこない。
結局、帰国したりで離れ離れになると自然と連絡もしなくなり、今じゃ連絡先すら知らない。
その場限りの友達が増えた。
関係を切ったり。切られたり。
それには慣れているし、頻繁にやってしまう節がある。
ベトナムに就職してからも、いろんな人と知り合うチャンスがあった。
消極的ながら、自分でも友達の輪を広げようとした。そこで知り合ったのが1人のベトナム人女性。
ベトナムに来てから、休日は特にやることもなかったため、語学学校でベトナム語を習いに行った。そこで、初回のカウンセリングをしてくれた職員だ。
クールで英語が堪能。キャリアウーマンっぽくてとても話しやすい人。というのが最初の印象。
それからなんらかの流れでインスタを交換し、ダイレクトメッセージでやり取りが始まった。
最初は事務的なことから、だんだんプライベートな話もするようになり、打ち解け始めた。
そんなメル友みたいな関係が半年ほど続いた。
お互い、(誘ったら迷惑かな?)(断られるかな?)とか思い込んで、なかなか「ご飯行こう?」と言えなかった。
オフィス外で直接会ったのは、私が語学学校を辞めるタイミングだった。
学校に通ってる時はやっぱり顔を合わせる機会もあるし、なんとなくプライベートで会おうとは誘いづらかった。
それくらい自分はオープンな性格ではないし、人間関係にタンパクなのだ。
誘ってくれたのは彼女の方だが、きっかけは私がインスタに投稿したベトナム料理レストランだった。
ベトナムでの孤独な生活から約8ヶ月。
ようやく友達らしい友達ができた。
彼女には遠距離の彼氏がいて、私も彼女にはそれ以上の感情はない。そのことが食事に誘いやすい理由でもある。
知り合って間もない男女だと、デートなのか、友達なのか、その気が無くても勘繰ってしまうし、勘繰られている気もして気まずい。
彼女は私とは反対に天真爛漫で仕事も大変だけど楽しんでいるようだった。でも人のことをあまり信じないとか言っていた。共通点もあるようだ。
初めてご飯に行った時は、色々とプライベートな話をした。たわいも無い話だ。
その後はカフェでゆっくりした。
その時、急に私のセクシャリティについて聞いてきた。
かなりプライベートな質問にたじろぎながらも、面と向かって嘘もつけず、正直に質問に答えた。
信頼してる、していない関係なく、自分の内をさらけ出すのは好きじゃない。
友達にシェアしたいことと、したくないことは誰にでもある。
それは仲の良さに比例しない。
それからは彼女の過去の大恋愛についての話に移った。
伝える能力に長けているのか、話の流れが上手だったが、長くて詳細な内容だった。
帰宅後、あの質問に答えたことに、モヤモヤした。
誤魔化せばよかったかな?答えたくないって言えばよかったな、と。
それから2回目の食事。
普段と変わらない態度で、そのことについてしつこく聞いてくることもなかったため、モヤモヤした気持ちは薄れた。
ただ、今回も新たなモヤモヤを与えてくれた。
彼女に、日本人男性との出会いについての話をした時だ。
ある日、ベトナムで有名なブンチャーのお店でご飯を食べていた時、たまたま同じ席に座った日本人男性がいて、そこで意気投合し、一緒にお土産屋さんを見て回ったり、飲みにいった。
その後まもなく、私のLINEが不具合を起こし、連絡先がわからなくなってしまった。という話。
ビジネスカードをもらってたので、メール自体はできるけど、そうまでして繋ぎ止めておきたい関係でもなかったし、興味もなかった。
しかし彼女は、絶対に彼はあなたの連絡を待ってる。と主張し、彼に連絡するよう執拗に迫ってきた。
彼女の言い分としては、せっかくの出会いを大切にしてほしいとのこと。
その時は、考えておくとしましたが、翌日にも連絡した?っとメッセージが。
言われ続けるうちに、確かに、せっかくの出会いだったから連絡しようかなと思い、彼のビジネスカードに乗っていたメールアドレスにLINEのidとともに、連絡先が消えた経緯を送った。
それからその日本人男性から連絡が来て、またLINEで繋がることが出来たが、忙しいらしく、また余裕ができたら会いましょうということで会話は終わった。
もちろんその後、彼女にそのことを報告すると、今度はなぜ会話してみないの?という。
一回会ったっきり、特に仲良くしたいとも強く思わない相手に、無駄なチャットでのトークはしたくないし、向こうも忙しいんだから、そんなことしたくないだろうと思った。
さらには、年始が休みで予定がないというと、その人に連絡して会いなという始末。
流石にこれ以上しつこくされては迷惑だと思い、特に会いたいとは思っておらず、お互い都合つくときに飲みに行ければいいというスタンスであることを伝えておいた。
きっと彼女は、せっかくの機会を逃していると思っているだろう。
とにかく、それからも彼女とは3回、4回と交流を深めていった。
4回目では、彼女の親友に会った。
彼女の、親友の話は以前から少し聞いていて、一緒に旅行もする仲だとか。
内向的で、いつも自分がついていないといけない気がするとのこと。
旅行や写真などが好きで、私と趣味が合うと思うということで彼女が食事会をセッティングした。
彼女の親友は、聞いていた通り大人しく、クールな人だった。それでいて少し批判的というか、あまり友好的ではなかったのが正直な印象だ。でもこれは自分も同じ。仲良くなればお互いもう少しリラックスして仲良くなれる雰囲気はある。
三人で集まったときも、会話を回してくれるのは彼女。
その時もたわいも無い話をしたが、ある話を持ち出した。日本人男性の話では無い。
私が語学学校に通っていた時のことだ。
ある時、その学校に新しい日本人女性が生徒としてやってきたのだ。さらに私と同じ出身地とのことで、なぜか彼女は嬉しそう。お互い1 on1のクラスなので、一緒の教室で学ぶことはなかったが、彼女が顔合わせができるように調整してきた。
といっても、たまたま同じ時間帯の授業だったため、日本人女性に少し待ってもらっただけのようだが。
その時は、その日本人女性に軽く挨拶をして、すぐさようならをした。
オフィスのエレベーターに乗る間の時間で何が話せるのか?
彼女としては、このベトナムで同じ地元の人に会ったのに、すごく冷たい。とのこと。
別に失礼な態度は取っていないつもりだ。
普通に、いつベトナムにいらしたんですか?同じ地元らしいですね。など会話を交わしただけだ。
その後日、日本人女性と会った?連絡先欲しい?と聞いてきた。
私は、ベトナムの生活や人間関係の悩みで疲れていたので、要らないよ。と断った。
すると彼女はwhat’s wrong with youあなたはどうしちゃってるわけ?と言ってきた。
その場は、彼女作りに語学学校に来てるわけじゃ無いからねと笑って済ませたが、この話が4回目のご飯の時に、さらに彼女の親友の前でぶり返されるとは思わなかった。
自分の性格を否定されてるようで、少し気まずかったし、関係ないだろ?と言いたい気持ちだった。このようなお節介は彼女の優しさや気配りではあるけど、やはり私の感想は有難迷惑の一言に尽きる。
さらにこのnoteを書くきっかけとなる出来事もあった。
それは、私の書いているブログが知られたこと。
休日何してるか?今週は何したのか?聞かれても、カフェ行ったとか、Netflixみてたと言っていたが、4回もあって話してると、ネタも尽きたし、つまらない人生だなとも思われたくなかった。
そのため、自分の密かな楽しみの一つでもあるブログの執筆について話した。
するとすかさず、携帯を差し出してきて、教えてと言ってきた。
最初は断ったが、たかがプログで断るのもなと思い、渋々教えた。
ブログでは主にベトナム生活や旅行記を書いているので、特定の人に向けたエピソードはほとんど無い。
そんな一般的なことしか聞いてないブログをなぜ知られたくないのか?それは、モノを書くというのは自分にとって夢中になれるものだし、匿名性を大切にしてきたからだ。
自分のブログは、誰かわからない人が書いた記事をたまたま見つけて、なんとなく読んで、(こんな体験した人がどこかに居るんだ。)とか、(こんな情報が欲しかったんだ!)と思ってもらうことに意義があると思っていた。
それが、今や彼女が私の行動を観察するツールと化してしまったような。そんな気がしてしまう。
あまり言いたく無いことでも、勢いに負けて答えてしまい、結果、言わなきゃよかったと思うことがあるのだ。
また、複数のsnsで繋がってるため、切るにも面倒だなと思う自分もいる。薄情だが、いつまで友達でいるか分からないためだ。
薄情な私にも、最近は長く付き合っていた友達と連絡が途絶えてしまった。
その人とはとても仲良くしていたが、LINEの不具合で連絡先がなくなってしまったのだ。
その人はsnsとか世俗的なものに興味がなく、お互いLINEと電話番号くらいしか知らなかった。
ただ、私は留学や海外就職が続いたことにより、頻繁に電話番号が変わっていた。
その人との関係を断つには、LINEの不具合だけでは踏ん切りがつかず、ショートメールや電話もかけてみた。
ベトナムからの電話に警戒したのか、最初は出なかったが、複数回かけると、無言で出た。
言葉をかけたが、そのまま切れてしまい、そのまま消滅してしまった。メッセージも届いているか不明だ。
普段は自分が我慢して、相手に見切りをつける形で縁を切るとかが多いが、今度は自分が見切りをつけられたのかもしれない。
とても残念だが、そこに固執する必要はない。
••••••••••••••
ベトナム人女性の話に戻る。
交友を続けるにつれて、お節介だったなと感じたり、特に話すことないな。なんて思ってしまうことも出てきたが、この記事を書いている今も友人関係は続いている。
ただ、彼女には申し訳ないが、どうにも特別な友達としての愛着が湧かない。
仲の良い知り合いくらいの感覚なのだ。でもそれでいいと思う。
いつか自分に合う友達ができると信じてたけど、いつもその場限りの友達しかできず、嫌いな面もあるけど、好きな面が勝る。というような友達もできない。
というか、こんな自分にそんな人が現れるのだろうか。
これまでの4回の食事で、彼女は私の守りたいプライベートエリアまで侵略しつつある。
自分の殻を壊してくれている救世主というわけではなく、手付かずの自然を破壊していく侵略者のよう。
もう少し、自然の成り行きに任せてみようと思う。
新たな人に会うかもしれないし、彼女への気持ちに変化が起きるかもしれない。ずっと1人かもしれない。
でも、大人になると意外と1人でも生きていける。
もちろん、本当に1人というわけではない。
家族や同僚、知り合いなど、様々な人との関わりは必要不可欠だ。
でも、友達という意味では、絶対必要とは感じない。寂しさはついてくるが。
自分の時間をどう使うのか。
人と共有する時間、学びの時間、くつろぐ時間、たくさんの時間をどう使いたいのか。
今は学校という縛られた狭いコミュニティの中には生きていない。どう使おうとも自由だ。
その時間を奪われていると感じる友達とは距離を置く。お互いのコンフォートゾーンが交わる友達を見つける。
まだ見つかっていないなら、自分のコンフォートゾーンの改築が必要かもしれない。
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