おとぎ話

フリーズドライに熱湯注いで解けていく速度で
移り変わる情緒好き嫌い好き嫌い好き
緊急事態だってさ踏切を越えて商店街歩けば
箱庭の様な平和がそこにあるのにね

Amazonで2000円弱の玩具みたいなプラネタリウム
スワイプひとつ分の身体みたくチープなときめき
安くて狭い近所の飲み屋すら小宇宙
移り変わる情緒の端っこ切り取って焼き付けて

食べても食べても足りない
目が赤いのは夜中のブルーライトのせいだよ
あなたじゃない
足りない足りない体温より温かいのは
小さな空想

電子レンジの上にうっすら埃が積もる速度で
頭の中で息をするふたりも歳を重ねた
もう子供たちのこころを想像することが出来ないなんて
こんな大人になるはずなんてちっともなかったのに

ヴォリュプテシャインを並べるダイソーのクリアケース
わたしひとりだけの領域なんて薄くて脆いものを
ずっとずっと作りためては放出する
傷付いて叫んで蓋をしての繰り返し

食べても食べても足りない
眠れないのはあなたとの未来を探しているからでもない
足りない足りない
お腹いっぱいになりたいだけ

いつか見せてあなたの目で見た世界を
初めて会った日の
揺れ動いた世界を
愛を呼んで。

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