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最初に望遠鏡を作ったのは誰だ!?

望遠鏡を作ったのは、ガリレオ・ガリレイである。。。
多くの方がそう聞いたことがあると思いますが、ちょっと違うんです。

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私が調べた限りでは、望遠鏡は1608年10月2日にオランダのメガネ職人ハリス・リッペルハイが作り、特許を出願しました。
(これを記念し毎年10月2日は「望遠鏡の日」とされています)
同じころオランダの天文学者アドリアーンスゾーン・メチウスも特許を出願しましたが、原理が簡単で誰にでも真似できてしまうと言う理由で、どちらも認められなかったようです。
17世紀初頭にレンズを組み合わせると、遠くのものがはっきりと見えることに気づいて、いろんな人が望遠鏡を発明した伝わっていますが、一般的にはリッペルハイが最初に望遠鏡を作った人と言われています。

では、なぜガリレオ・ガリレイが発明者と言われているのでしょうか?

ガリレオが望遠鏡を作ったのは、翌1609年5月と言われています。
この時も「オランダで望遠鏡が発明されたらしい」と聞いたうえで自ら考案して作っているため、発明者ではないことは明白です。

望遠鏡の詳しい製造法などは、リッペルハイが特許を出願したオランダが当時、周辺諸国と激しく対立しており、望遠鏡が与える軍事的影響を考慮し、製造法を秘密にすることを言明されたため、噂程度で聞いたものと思われます。

この時、ガリレオが作った望遠鏡は、対物側に凸レンズ、接眼側に凹レンズを使った、口径42mm倍率9倍の望遠鏡でした。

凸レンズと凹レンズを使ったこの望遠鏡を一般に『ガリレオ式望遠鏡』と呼びます。
対して接眼側に凸レンズを使った望遠鏡を発明者であるドイツの天文学者ヨハネス・ケプラーにちなみ『ケプラー式望遠鏡』と呼びます。

凸レンズと凹レンズの2種類のレンズを用意するよりも、凸レンズを2つ用意する方が楽だったように思うのですが、ガリレオが最初に作った望遠鏡は凹レンズを使用しています。
これは、接眼部に凸レンズを使うと、見える像が倒立してしまい、地上を見る場合に不都合が生じるためになります。
リッペルハイが凹レンズを使ったことを聞いていたか、凸レンズも試したが、像が倒立するのを嫌ったからではないかと思います。

ところが、接眼部に凹レンズを使うと、像は倒立しませんが、倍率を上げると視野が狭くなるという欠点があります。
そこで、ケプラーが接眼部に凸レンズを使う望遠鏡を考案しました。
(考案しただけで、実際には作っていないようです。)

ガリレオは倍率の二乗に反比例して視野が狭くなりますが、ケプラー式は倍率に反比例して狭くなります。
地上を見る場合は像が倒立しないガリレオ式、天体を見る場合は像の倒立は問題にならないためケプラー式が使われるようになりました。

現在では、ガリレオ式はオペラグラス等の低倍率望遠鏡に使われるのみで、双眼鏡やフィールドスコープと言った地上を見るタイプは中に像が倒立しないよう、正立プリズムを入れて補正しているため、望遠鏡と言えばケプラー式になります。
(望遠鏡の詳しい話は長くなるので、別の機会にいたしましょう)

ガリレオは望遠鏡を作り、それを天体に向けました。
そして月や木星、太陽などを観測しました。
この功績が後世に伝わり、望遠鏡と言えばガリレオとなったのではないでしょうか。

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