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走れメロス

先日、息子が読んでいた太宰治の短編小説「走れメロス」

実は私自身、読んだことがないのでちょっと借りて読んでみました

そしてその中に、こんな一説がありました

野原で酒宴の、その宴席のまっただ中を駈け抜け、酒宴の人たちを仰天させ、犬を蹴けとばし、小川を飛び越え、少しずつ沈んでゆく太陽の、十倍も早く走った。

走れメロス〜太宰治 より

太陽の十倍早く走る、、、

いやいや、早すぎだろ

けど、実際どの程度早いのか、きちんと考えてみました


まず、「太陽の沈む早さ」につついてですが、これは地球の自転速度が関係します
地球が自転するから見掛け上、太陽は沈んでいくように見えるので当然ですね

24時間で地球は一回転するので、十倍早くするということは2.4時間(約144分)で地球を一周する早さになります。

地球の円周は赤道で約4万km
これを2.4時間で一周するとなると、、、

速さは距離 ÷ 時間で求められますので、

$${40,000 (km) \div 2.4 (h) = 16,666 km/h}$$

となります

時速1万6千km!!
いわゆる音速(マッハ)が時速にすると1,224 km/hですので、メロスはおおよそマッハ13で走ったことになります

ですが、これはメロスが赤道上にいた場合になります。
小説『走れメロス』の舞台は、イタリア南部のシチリア島にある都市ですので北緯で言うと37度ぐらいになります
北緯37度での地球の自転速度はおおよそ1,300 km/hぐらいです
これの十倍の速さで走っているので、時速換算で13,000 km/h $${\fallingdotseq}$$ マッハ11といったところでしょうか

マッハ11、、、

自動小銃の弾丸の速さが秒速900mから1,000mぐらい(時速換算で3,500 km/h)らしいので、メロスを撃ったとしても走って逃げられてしまいます
さらに2004年11月16日にNASAの無人実験機「X-43」が航空機世界最速記録が時速1万1845 km(マッハ9.68)ですのでそれよりも早いことになります

流石に第一宇宙速度(7.9 km/s、時速換算で28,440 km/h)には及ばないのでメロスが地球を飛び出して宇宙に行くことはありませんが、、、

ただメロスが走った距離はたかだか十里(40km)
マッハ11だとわずか11秒で着いてしまいます

そう思ってもう一度読むと、いろいろ疑問が湧いてきてしまい物語が崩壊してしまいますね、、、

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