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望遠鏡で見るということ

私は望遠鏡をもって小学校などへ行き、星を見せるボランティアをしています。
望遠鏡を使って直接、星を見る。この経験をしてほしいからです。

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正直、望遠鏡で星を見てもきれいに見えません。

ベガを見てもただのピカっと光る点です。
アルビレオを見ると2つの星がくっついている姿が美しいですが、それも結局は点です。
木星を見ても縞模様はうっすらとわかる程度。
土星の輪もシーイングが悪いとボケて間延びした姿に見えることも多いです。
月は人気がありますが、クレータの凸凹にリアルがある程度です。

どれもこれもインターネット全盛のこの時代、ネット上にあふれた画像には勝てません。
おまけに子供たちが持っている教科書や副読本、図鑑には世界中の巨大望遠鏡が撮った天体の素晴らしい姿が載っているのですから。

それでも、私は『(望遠鏡で)直接星を見る』という経験が大事だと思っています。
もちろん、実なんてありません。
望遠鏡に小型カメラを付けて、モニターに映し出してみんなで見たほうが楽ですし、きれいに見えます。
(だいぶ昔にそれで揉めたこともあります)

私はカメラで写真を撮ります。
もちろん、望遠鏡にカメラを付けて何十秒も露出して、補正しています。
それで捉えた天体の姿は、直接、目で見た姿の何倍も繊細で鮮やかで美しい姿です。
でも、接眼レンズを付けて、見えるか見えないかの姿をぼーっと見ることもします。

それははるか遠く、何光年何百光年も先からやってきた天体からの『光』を感じたいからです。

もちろん、そんなことを感じてもよくは見えません。
ベガはピカっと光る光の点です。

ですが、25光年先に存在する恒星から宇宙に放たれた光が、25年という時を経て地球に届き、その光を今、この瞬間見ている。

紙にプリントされ、蛍光灯の光を反射して見えている姿とは全く別のリアルな光を見ているという事実を感じてほしい。
それを感じることで未知の経験をする楽しさ、新しいものを知る喜び、知りたいという心、探求心を持ってほしい。

もちろん、星に興味を持ってほしい。ふとした時に空を見上げてるようになってもらえたら。
というのもありますが。

宜しければサポートをお願い致します。ご厚意は天文ボランティア活動の資金とさせて頂きます。 これからも星空に興味を持っていただけるような記事を書きたいと思っています。