タイトルを付けるほどの内容でもなく……

たいしたことではないし、ましてやこうしてnoteに書く価値もないことだけれど、自分にとってはちょっとした出来事だし、記録するのは自由だから書いておく。

買ってきたお米を容器に移していたら少し床にこぼしてしまい、フローリングのすきまに数粒はいりこんでしまったので、掃除機を引っ張りだしてきてスイッチを入れた。
すると、年末の大掃除のときに気になった現象にあらためて気づいた。掃除機の吸引力がどうも弱いのだ。「ヴィーン」とモーター音をたてて米粒を吸いこみはするものの、床面にくらいつくような迫力がない。ゴミパックが満杯なのかと本体を開いたが、まだ半分もたまっていない。さてはチューブに何か詰まっているのかと、チューブの片方の穴からクイックルワイ〇ーの柄の部分をつっこんでみても何も出てこない。思えば20年以上も使ってきた、今はなきSANYO製のこの掃除機。くたびれてきたとしても無理はない。買い替え時かなと思いつつも、チューブの反対側の穴に取り付けられている先端ノズルを外してみると……。

「ギャーッ!」

思わず叫んだ。ただし心の中で。
ノズルとの接合部分には灰色の綿ぼこりがびっしり詰まっていた。どおりで吸いこんでくれないわけだ。そういえば大掃除中にティッシュを吸いこんだような記憶がある。それがノズル内につかえてしまったのだろう。元々大雑把な性格なのであまり気にもせず、その後もかまわずあちこちに掃除機をかけて「ああ(だいたい)きれいになった」と満足していたけれど、掃除機のほうは「ムリー! 喉がつっかえちゃって吸いにくいよお! 助けてよお!」とずいぶん苦しんでいたのではなかろうか。おまけにふだんは掃除しない、高い棚の上やら洗濯機の下やらにたまりにたまったホコリを片付けさせられたのだ。どんなにつらかったことだろう。
そう思うとなんだか涙が出そうになり、哀れな掃除機を撫でて……いや、そんな感傷に浸る前にチューブに割箸をつっこんで、つまったホコリ玉とティッシュを取り除き、ふたたびノズルをはめて掃除機のスイッチをいれてみた。

「おお!」

今度は感嘆の声をあげた。まるで新品のような吸引力がよみがえったのだ。もうさっきまでの彼ではない。なぜ「彼」なのかはおいておく。ティッシュどころかラグや玄関マットまでまるごと吸いこんでくれそうな強力パワーに、私はすっかり気分がよくなり、あちこち掃除機をかけまくった。

こうして20数年来の掃除機は、これからもわが家で働き続けることになった。今はもっと高性能の掃除機が売られていて、家電量販店に行くとピカピカでスタイリッシュな掃除機群に惹かれないわけでもないけれど、大惨事を克服し、再び元気に働いてくれるようになった彼をどうして捨てられるだろうか。

今夜は夫が帰ってきたらこの話を滔々と語ってあげよう。きっと右から左に流されるだろうけれど。

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