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小説「対抗運動」第7章4 官僚支配

おいさん、ほうか、「五つの共産主義」はもう30年前の本になるんやね。ハッハッハ。
日本の会社でも、何百人とか、すこうし規模が大きなると「官僚」支配になるね。
計画して指図する少数の人たちと、それに従うだけの大勢の人々、いう関係じゃ。

今、さかんに言われとる「改革」は、この弊害をなくすことを目差しとるんじゃが、日本の企業の場合は、その目的が利潤を上げることだけに集中しとるね。ほんとうはおかしんじゃが、もう誰もさからえんね。

社会主義諸国はとてつもなくこの規模が大きかったけん、弊害も大きかった。
日本やアメリカ、ヨーロッパの先進国は曲がりなりにもこの弊害を打開してきたんやろね。出来んかった国は没落し、企業は倒産していったわけやからね。

ところで、協同組合運動の目的は、働く人の自由、じゃったね。生産手段を国有化したら商品経済がなくなり、従って雇う―雇われる、関係もなくなるという予想は誤りじゃった。ほしたら、協同組合化の場合はどうなんじゃろうか?

一つの組合内部では、働く人らの協議によって運営できとるとしたら、一応目的に近づいとると言えるね。しかし、国が作った協同組合いうんは、そこのトップは、国から任命されとるんと違う?

また違うとしても、自分らで選べるんやとしても、そこの生産物は自由に市場で取引されとるんやろうか?それとも協同組合間で協議して取引されるんかいな?中央の官僚の指示に従って、必要なところに送られとるんと違う?賃金も指示によって決められとるなら、雇われとるんと同じじゃね。

協同組合運動の目差すところは、協同組合同士が協議してルールを作っていくことじゃね。いわば下から、現場からルールを決めていくことじゃ。国の指導によって協同組合を作って運営していくいうんは、どうも解らん。キューバはどうなっとるんかいね?
ええ知恵出しとるんなら日本の協同組合運動の参考になるかも知れんのじゃが。

続く
執筆:飛彈ゴロウ、2003年9月29日

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