小説「対抗運動」第8章3 もみがらミネラル炭、の挫折
おいさん「舞ちゃん、悪い知らせじゃ。」
舞ちゃん「どしたん?」
おいさん「新庄の佐藤さんから手紙が来てね、もみがらミネラル炭、のプロジェクトは放棄されたんじゃと。」
舞ちゃん「エーッ、なんで?」
おいさん「売れんかったからじゃ。」
舞ちゃん「ほいでも、そんなに焦って止めいでもええのに。」
おいさん「残念やけどしょうがない。おいさんもよう売らんかったけんね。経済的に立ち行かんもんは、あかんのじゃ。理想を追っかけるためには、経済的にも成り立っていかんとあかんのや。経済だけやったらあかんけどね。理想だけでもあかんのや。」
舞ちゃん「なんとかならんの。」
おいさん「ならんのや。あの大きな装置は、もうスクラップにしてしもうたそうじゃ。」
舞ちゃん「つらいねえ・・・。」
おいさん「・・・千倉はどうや?」
舞ちゃん「カフェ・ド・梵のママさんは、ようしてくれるけん、うち充実しとるよ。田舎のおじいちゃんとおばあちゃんは、心配して、はよ帰って来い、言いよるけど・・・・。」
おいさん「おー、ほうか、そりゃええ。ところで舞ちゃん、入試の願書は出したんかい?」
舞ちゃん「うん、願書だけは出しとるんやけど、受けんかもしれん。夜は勉強もしよるんやけど、対抗運動の方が面白いしね。おいさん、大学へ行った方がええんやろか?」
おいさん「舞ちゃんはよう頑張っとると思うけど。行きたいとこあるんやったら受けといたほうがええよ。それに、もっと、もっと勉強せんとね、対抗運動も行き詰まるよ。」
舞ちゃん「そやね、もみがらミネラル炭でもあかんのやから。」
続く
執筆:飛彈ゴロウ、2004年2月3日