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【一問一答】メンタルマネジメントについて

代表の橘が読者や社員からの悩み相談に答えていくコラムです。

仕事・プライベートにかかわらず社員のみなさんの悩みが少しでも解消され、みなさんのより良い人生と更なる成長につながることを願って定期的に綴っていきます。それではいただいたご相談に答えていきます。

【質問】

経営者、管理職におすすめなメンタルマネジメント方法を教えて欲しいです。

答えの無いことに答えを出し、社員を導いていく必要があり、
誰かに相談をいくらしても結果の責任を自らが追うという立場において常にプレッシャーと向きあっています。

【答え】

答えのないことに答えを出し、社員を導いていく必要があるという状況であるならば、見方を変えて、
言い換えるならば貴方は、社員を導きながらもそれを通して、貴方自身が色々な意味で成長する機会・試練を得ていると考えることができるのではないでしょうか。

そして、当然のことですが最新の脳科学においては、困難に対するチャレンジな生き方こそが、脳を発達させることが分かっています。
脳は困難に前向きに立ち向かう時にこそ、普段のリミッターを外して、フルに活動して、その能力を向上させるのです。
その意味で、若いうちは苦労は買ってでもしろと言うのは真実です(ただし、若い時に限らず、人生全体でそうです)。

一方、困難にあって潰れてしまう人がいることも確かです。

では困難にあって成長する人と潰れてしまう人の違いは何か。

これも脳科学者が助言していることですが、困難を自分の成長のチャンスとして、自分に良いことだと前向きにとらえるか、
困難を悪いことだと考えて否定的にとらえるかで変わってきます。

なお、前向きにとらえてチャレンジすると言っても、焦って無理をする必要はありませんし、そうする場合は、本当の意味では前向きにとらえていません。
困難の克服に焦るということは、やはり困難を悪いこと、嫌なことだと考えて、それから早く逃れたいと言う心理が背景にあるからです。

その背景に、人には早く楽に幸福になりたいと言う怠惰の心が存在しています。
言い換えれば、苦しみを悪とばかり考えて嫌がりすぎ、安楽を善とばかり考えて、求めすぎる心の働きがあると言うことができると思います。

しかし、ローマ一日にしてならずというように、立ち向かおうとしていることが、一朝一夕では乗り越えられぬ困難であることは、それに大きな価値があることを示していると思います。
自分がなそうとしている困難の克服に価値があるほど、その克服には時間と努力が必要であり、言い換えれば、焦らず弛まず、コツコツと努力をしていく必要があると思います。

次に、これを土台として出てくるのが感謝の精神です。
前に述べたように、貴方が社員を教え導く中で、容易には答えのでない問題を抱えて、試行錯誤しているとすれば、
それは、あなた自身が色々なことを学び、成長するプロセスでもあるわけです。

すなわち、人は、教えながらこそ、自分が学ぶことがあると思います。
導きながら、導かれているということです。教える自分と学ぶ相手、導く自分と導かれる相手を完全に区別するのは、二元論的な世界観・人間観です。

そうではなく、実際には、類は友を呼ぶともいいますが、縁があって共に働く場を得た貴方と社員は、色々な点で能力に差があるとしても、それと同時に、色々な意味で繋がっており、
そのため、自分と相手は一体となって、成長するものであるという見方です。これは一元論的な世界観、人間観です。

例えば、何かを相手に教えても、相手がうまく理解できない場合は、自分自身がまだ十分に理解していないことを示していないか。
また、他人を良い方向に変えるには、まずは自分自身をその方向に変えることが必要ではないか、といった考え方です。
相手は自分の鏡、反面教師であり、相手と自分は繋がって連動しているのではないかという見方です。

これは、謙虚さと努力・精進、そして他人に(自分の鏡として、自分の成長を助ける者として)感謝する心の働きを生みます。
自分と相手を完全に別の物として、優れた自分が劣った相手を教え導くとばかり考えると、そこには気づかぬうちに、謙虚さ・努力・感謝ではなく、プライド・慢心が生じ、
それとともに、相手が自分の思う通りに動かない場合は、プライドが傷つくことになります。

そして、質問の言葉にあった通り、結果の全責任を自分で負う立場の者として、悪い結果によって自分のプライドが傷つき苦しむのです。
もちろんこれ自体は悪いことばかりではなく、その苦しみをバネにして、そうした苦しみを避けるために、良い結果を出すために努力しようという気持ちになる面が当然あります。
それが責任感というものということもできます。

しかし、それが強すぎるならば、良い結果を焦る心に繋がり、空回りする場合があります。
そうしてストレスが積み重なると、自分のパーフォーマンスが落ちて、それがまた悪い結果をもたらすという悪循環が生じます。
ストレスと、その際に分泌されるストレスホルモン(コルチゾールなど)は、人が自分を守るためにも、成長するためにも必要な刺激です。
しかし、ストレスが長期間継続するばかりだと、抑うつ状態を招いたり、心身と知力を損なうことになります。

一方、謙虚に、自分は教えながら学んでいる、導きながら導かれるという気持ちを持つならば、相手の存在に感謝の心が生じてきます。
そして、会社を貴方と社員双方の精神的な成長のための道場であって、社員は、貴方の精神的成長を助ける稽古相手という風に考える事もできると思います。
すると、自分の心の状態、社員や会社という場の見え方が、明るい前向きなものに変わってくると思います。

柔道家は、道場に入る時、ないし試合を始める前に、相手に一礼すると言う作法があります。自分の稽古相手は、自分の成長を助ける友人であり、恩人であり、感謝と尊重の対象なわけです。
朝、会社のオフィスに入る前に、手を合わせて感謝の気持ちを持つのもいいかもしれません。
さらには、朝、互いへの感謝の気持ちを持って「今日もありがとうございます」と一礼する習慣があってもいいかもしれません(そのような習慣を実践している企業があるとも聞いたことあります)。

そして、他への感謝や慈しみの心は、幸福ホルモン(オキシトシン・エンドルフィン)の分泌を促します。
それはストレスホルモンと逆に、心身の健康と知力・目標達成力を高める作用があります。結果として、感謝の心と言動は、貴方の社員を教え導く能力、
そして、社員の成長する能力を高めることを助けることになると思います。

素敵な一日をお過ごしください。


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