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【一問一答】中学受験

代表の橘が読者や社員からの悩み相談に答えていくコラムです。

仕事・プライベートにかかわらず社員のみなさんの悩みが少しでも解消され、みなさんのより良い人生と更なる成長につながることを願って定期的に綴っていきます。それではいただいたご相談に答えていきます。

【質問】

中学校受験について 子どもに中学校受験をさせるか否か迷っています。

一般的に大学進学に有利ということだけで、思春期のほとんどを校庭で遊ぶこともせずに塾に通い詰めさせ、朝から晩まで勉強させる。その結果2割しか志望校に行けないという競争の激しい世界に小学生の段階から没頭させることに少し抵抗感を覚えるも、子どもの将来を考えると良いのでは、と悩んでいます。


【答え】

まず、大学進学を楽にさせたいという目的での中学受験については、有名私立大学へのエスカレーター入学の是非を考える必要があると思います。というのも一般的に、有名私立大学の付属校の生徒は、大学受験がないために大学受験をする者に比べて勉強せず、大学に入ってからも底辺に行く者が少なくありません。一方、受験の有無とは無関係に、自ら意欲を持って勉強をし、大学で極めて優秀な学生になる者もいます。すなわち上と下に分かれる傾向があります。

つまり、何事もそうですが楽な環境が良いとは必ずしも限らないと思います。そして、この数十年間の教育関連の問題としては、1990年末ごろまでにゆとり教育の導入のために、学力が落ちてしまったという見方が出て、ゆとり教育が見直しになったということがありました(ただし、実際に学力が低下したか否か、見直しが本当に望ましかったかは、異論もあるようですが)。

また、楽ばかりで、何かしらの試練の経験がなければ、自分を鍛える機会を失い、精神的に弱く育ってしまうのではという視点もあると思います。実際に最近の若者には、ちょっとしたプレッシャーで鬱になる傾向がみられると言います(新型うつ)。一般論としても、楽が過ぎれば、安楽から堕落を招き、苦しみが人を鍛える刺激となるという考えはあると思います。

そして、どんなに親が子どもに楽をさせたいと思っても、実際には、色々な困難に巡り合うのが長い人生ではないでしょうか。これを考えれば、それを乗り越えることができる強く柔軟な心身を持った子どもに育てることも重要だと思います。それは、様々な意味での忍耐力、集中力、広い意味での努力する力を子どもに与えるものです

そのためには、少年期・青年期において、現実の人生の中で、一定の負荷・苦痛を伴う鍛錬・試練の機会は、有益だと思います。これが、昔から言う「若いうちは苦労は買ってでもしろ」「かわいい子には旅をさせよ」「鉄は熱いうちに打て」という言葉の背景にある人類の経験則、経験から来た知恵ではないでしょうか。実際に、若いうちこそ、心身は柔軟であり、脳の神経ネットワークの形成も盛んです。

とはいっても、その鍛錬の方法は、親が中学段階から受験を強いることばかりではないことは言うまでもありません。そこで、ひとつ考えられることは、その子どもに好きなことに打ち込ませるということがあると思います。人は、好きなことであれば、それがうまくなるために努力をします。努力とは、自分の成長による長期的な幸福のために、今の心身の苦痛に耐えること、またその苦痛を喜びとすることだと思います。

それが、学校の勉強であれば、受験戦争に向かわせるのも一手だと思います。大学受験が楽な有名私立大学の付属校に入れて、楽をさせてあげると言うのではなくて、それこそ東大をはじめとする国立大を目指す進学校ですね。また、それが、スポーツであれば、それに打ち込む中で、心身を鍛えていくだろうと思います。スポーツに打ち込んだ時の忍耐力・集中力は、子どもがプロスポーツ選手にならなくても、将来の仕事や生活において役に立つと思います。

さて、その子が勉学の道を行く場合であっても、その土台は心身の健康です。健康的な子どもに育つように、健康に良い習慣を身につけさせることは、一生にわたって有益だと思います。その基本になるものが、、①バランスの取れた食事、②適度な運動、③良い睡眠といった、3大生活習慣ですね。そして、心と体は連動していますから、体の健康は、心の健康、今よく話題になるメンタルの強さにも関係してくると思います。

これを無視して、心身の健康を損ないながら、受験戦争に向かうことはお勧めしません。たとえ短期的に優秀な学校に入れても、長期的には、伸びを欠き、挫折する人生になる可能性があると思います。急がば回れ、急いては事を仕損じる、ローマは一日にしてならず、ということです。長い人生ですから、子どもの長期的な幸福を視野に入れて、焦らずに将来の成長・成功・幸福の土台となるものを固めていく手助けをすると良いと思います。

なお、現代のストレス社会に適応するためには、上記の3大生活習慣に加えて、更に一定のストレスマネージメントのスキルを身に付けることが望ましいと私は考えています。精神安定に役立つのは、セロトニンという脳内神経伝達物質です。これが不足するとうつ病になるとされるもので、セロトニンからメラトニンと言う睡眠誘導物質もできるため、安眠にもつながります。

この分泌の促進には、①セロトニンの原料となるタンパク質(と炭水化物)を含めたバランスの良い食事をすること、②食事をよく咀嚼する、適度な歩行・散歩、呼吸法といったリズミカルな運動をすること、③日の光を浴びることなどが推奨されます。日の光を浴びるとビタミンDが生成され、骨も強くなり、精神が安定します。

これに関連して、今流行りのヨーガの体操や呼吸法は、セロトニンの分泌を含めた心身の健康に良いと思います。また、最近GAFAなどの大企業が、ストレスマネージメントと仕事の能力を高めるために導入したマインドフルネスなどの瞑想法なども、一生にわたる心身の安定のために役立つと思います。

いずれにせよ、苦難の裏には楽があり、楽の裏には苦があることを念頭に、決めたその道を邁進していただけたらと思います。


頑張ってください。心から応援しています。

トランスアクト 代表 橘秀樹

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