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翻訳会社は中抜き業者ではない

翻訳業界では、手を動かして翻訳に取り掛かる人のほとんどがフリーランスであり、翻訳者のほとんどが翻訳会社の外の人です。そのため、翻訳会社と翻訳者の間の利害関係の一致がうまくいかない場合もあり、両者で足並みがそろわないことがあります。

そして、翻訳会社のことを「中抜き業者」ととらえる翻訳者もたぶん一定数いて、これが軋轢の原因になることもありえます。ただ、僕は翻訳会社が中抜き業者であるとは思わず、翻訳会社は「営業機能の代行業者」であると考えています。今回はこの点について説明します。

お互いを「便利」と思うならそれでいい

翻訳会社と翻訳者の関係はビジネスライクのドライな関係であり、利害が一致すれば近づく、一致しなければサヨナラするという、シンプルな関係です。翻訳者が翻訳会社に近づいて取引を持ち掛けるのは、翻訳会社がその翻訳者にとって、「便利で役に立つ存在」であり、自分が営業努力をしなくても案件を回してくれる便利な機能を持っているからです。

たとえば、YouTuber をやっている人であれば共感できると思うのですが、作り手(クリエイター)の観点から見た YouTube プラットフォームは、クリエイターツールやレコメンデーションエンジンなどをタダで活用できる「便利で、ありがたい」存在です。YouTube で発生させた収益が YouTube (Google) に持っていかれることに対して、中抜き業者であると考えるクリエイターはいないでしょう。

翻訳会社は営業機能を担う代行業者のようなもので、その機能の対価としてマージンを抜かれるなら、それはよいよね、という話です。

さいごに

翻訳者から見た場合で、翻訳会社が「便利でありがたい」と思えるのであれば、翻訳者も健全な精神で仕事に取り掛かれるようになるでしょう。中抜きがムカつくという感情がある、翻訳会社が惰性で案件を流していて努力していないように感じるなら、シンプルにその翻訳会社から逃げて、他に移動すればよいだけです。

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