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発音記号は天から降ってきたわけではない
発音記号通りに正しく発音しましょう、という発音の指導は間違っていません。ただ、そこから一歩踏み込んで、そもそもなぜ発音記号通りに読まなければいけないのか、なぜその音を出すことが「正解」なのか、という点に触れたほうがよい場合もあります。今回の記事では、なぜ発音記号通りに読むことが正解になるのかを、言語の発生と発音記号の時系列的関係に着目して説明します。
英語は自然言語であり、発音記号は明確な意図をもって作られた
実際に運用されている英語は自然言語です。自然言語とは、人間が意思疎通に用いる、いわゆる普通の言語であり、その特徴のひとつに「ほっといたら勝手に出来上がっていた」とうのがありあす。決して、誰か昔の偉い人が、「このような言語を作ります、ルールはこうです、よろしく」のように、トップダウン形式で出来上がったわけではありません。
そして、言語の自然発生が先で、発音記号はその自然発生したさまざまな言語を統一的に、同じものさしで理解するために、人為的な目的をもって登場した手段です。発音記号が後から登場したものということになります。
発音記号と実際の音の両方が重要
発音を指導する立場の人間は、「その発音記号で表される音は何か」と「実際の運用でどのような揺らぎが生じるか」の二つをセットにして、教わる側の人間に伝える必要があります。
たとえば、音楽の場合でも、実際にレンディションされるもの(演奏)と楽譜の両方がなければ、さまざまな演奏のバリエーションを理解することはできません。音楽を聞かせるだけでも、楽譜だけ見せるだけでもだめで、両方必要ということです。
このアナロジーは発音にも適用できて、発音記号だけ見ていてもだめで、英語話者の音だけ聞いてもだめです。そうではなく、発音記号をチェックしながら実際に運用される音を聞きに行く、というスタンスである必要があります。
さいごに
発音記号は、実際に運用される音を一般化してまとめるための手段である
実際の発音のされかたには揺れ(個性)があるが、それらをざっくりとひとつの表記で書くことは便宜上役に立つ
発音記号は、実際に運用されている音を後追い的に再現するための手段としても活用できる
と説明できるはずであり、これが、今回の記事の主なメッセージです。繰り返しですが、実際に運用される音を再現することが発音学習の目的であり、その手段が発音記号であるという関係性を理解することが大事だと僕は考えます。
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