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リタイアから得るもの。「信越五岳トレイルランニングレース2023」100マイル レースレポート

文・写真=奥松みなみ(Trail Storyレポーター)

Trail  Storyレポーターの奥松みなみさんが、信越五岳トレイルランニングレース 100マイルを、サポート目線でレポートしてくれました。家族で挑んだ2日間の戦いの様子をお伝えします。

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毎年救護チームの一員として信越五岳に参加している旦那さん。
「今年は選手で100mileに出るからサポート来る?」という何気ない日常会話中でサポートするとになりました。

今回、初めて信越五岳でサポートをして感じたことをお伝えします。

黒姫でペーサーにつなぎたい

サポートすると決めてからは、エイド間の距離、平均走破時間、関門時間、サポートの心得など下調べを徹底しました。

彼を支えたい気持ちはもちろん。ペーサーを引き受けてくださった方や応援してくれる人たちのためにも完走して欲しい!! まず黒姫までつなぎたいその一心でした。

事前準備の大切さ

印刷したルートマップに予測タイムやエイド間の距離、ポイント予め書いて首から下げてました。
すぐ今のタイム・次の目標・距離を伝えられたのは良かったと思います。

ただ信越五岳は想像以上に時間と気力と体力の闘いで、ひとつ間違えると後が苦しくなる過酷なレースだと後に味わいました。

自然に山に試されたレース

事前準備ができていても、思いがけないリクエストがされることが多々ありました。

着替えないはずのエイドで暑くて着替えたり、
小分けにしてたのと違うものの入れ替えが必要だったり。急にお湯が必要だったり。

初日はジメジメ、昼間は真夏日、夜は雷雨と「自然」の中で生きていることを全身で感じられました。

笑顔で送り出したい

正直、二晩に渡るサポートは慣れない道の運転、いつ来るか分からない待機時間で体力・気力ともに辛いものがありました。

それでも自然を相手に闘う彼や他の選手の姿には感動するものがあって、一緒に走ることは出来ないけど前向きな力になればと笑顔で送り出すのを心がけていました。

2度目の関門のピンチ

「正直関門に間に合わないかもしれない」
1度目はアパリゾート。そして2度目は池の平スポーツ広場に泥だらけな足を引きずって入ってきた彼をみて思いました。

ペーサーにも状況を伝え、送り出した後はただ信じるしかありませんでした。

黒姫のエイドで到着を祈る中、彼が必死に駆け込んできたときには心の底からその姿に感動しました!!

ここからはバトンタッチ。
ペーサーと2人なら必ず走りきってくれる。信じて待ってると送り出しました。

100kmの先の世界

「足が死んだし、関門に間に合わさそうなので、大橋林道でリタイアします」

何度も関門のピンチを乗り越えてきた彼だからきっと困難も乗り越えてくれると信じていただけにショックで、「えっ」としか返せませんでした。

「黒姫から先が本番」
完走した先輩からの言葉が刺さりました。

リタイアから得るもの

リタイアした二人を迎えに行く時、なんて声かけたらいいかと考えていましたが、出た言葉は「ここまで連れてきてくれてありがとう」の一言でした。

落ち込んでるかなと思ったら、あまりにも清々しい顔をしていて。今の自分の限界に挑み抜いて、またリベンジに向けて悔しさを刻みつけているように見えたからです。

結果よりも、それに挑むまでの過程こそが重要。
もちろん100mile完走したらカッコよかったけど、挑戦し続けることに意味がある。

私自身も旦那さんを本気でサポートして、彼と深く向き合えたし、何度もそのガッツに感動しました。

また一緒に挑戦して、次こそ完走してゴールテープを掲げよう!!  見ていた息子もまた親父のリベンジに燃える1人になりました。

信越五岳に感じたもの

長野の自然を相手に時間制限も距離も過酷で、自分の極限に挑んでいくランナーの姿に何度も感動して本当にパワーをもらいました。

そして走り抜いた人にしか分からないゴールの達成感溢れる姿。

私も走ってみたくなって「トレラン初心者」で検索してしまったほど、憧れてしまう魅力ある大会でした。

またいつか家族で挑戦したいです!!

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