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創業42年の企業がオフィス移転で経験した、社員と事業の変化とは?

コミュニケーションプランニング
代表取締役社長 田嶋範夫さん

位置情報やVRを使ったサービスを提供するコミュニケーションプランニング社。1978年に創業し、様々な時代の波を特化型のスペシャリスト企業として乗り越え、今年で創業42年を迎えます。
同社は2019年に元麻布から内幸町へとオフィスを移転し、トレイルヘッズが空間づくりをお手伝いしました。創業社長であり現在も代表をつとめる田嶋社長は、「会社の雰囲気を変えたいとき、経営面で変化を起こしたいときは、オフィスの移転は効果的」と話します。歴史ある企業が踏み切ったオフィス移転の背景や、オフィス移転による社員そして事業の変化についてお話を伺いました。

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お話を伺ったコミュニケーションプランニング社 田嶋社長

ーオフィスを移転するきっかけを聞かせてください

恵比寿から元麻布のオフィスに引っ越して10年以上経っていたので、少しマンネリしてきている雰囲気だったんです。会社の雰囲気や業績も、なんとなくね。

そんな時に変化をしたいと思っていましたが、簡単に変えられないもの、変えてはいけないものもありますよね。そんな中、手っ取り早く変えられるものがオフィスだと思っています。ロケーションも景色も変わる。これだけで社員にとっては新鮮味がでてきます。

また、以前は元麻布にあり、オフィス街ではないので夜は会社までの道のりが暗くなる。そうなると、夜に面接をする中途採用は真っ暗な中で来てもらうことになり、あまり向いていませんでした。一方で今のオフィスは少々狭くはなりましたがアクセスは抜群です。人が集まりやすいので、優秀な人材を獲得しやすい。かつ、家賃やランニングコストは以前と変わらない。

これらを総合して、会社としての成長戦略の攻めの拠点、アクセスの良さ、コストという三つのチャンスを得られることから、移転に踏み切ることを決めました。

実際移転にあたって、デザイン会社数社から提案をしてもらう予定でした。しかしトレイルヘッズの山口さんとお会いしてコンセプトを伝えたら、その場でさらっとレイアウトを引いてくれたんですね。それを見て直感的にその感性を気に入って決めてしまいましたね。5社競合の予定が、即断即決でした(笑)

ー今回のオフィスの特徴を聞かせてください

以前のオフィスは、細長くて奥に広いオフィスだったので、オンとオフでエリアを区切っていました。そうすると来客から社員が働いているところが見えず、また、一体感が持ちにくいようにも感じていました。

今のオフィスのキーワードは「HUB」。みんなが集まるところですね。オンとオフを多少区切ってはいますが一体化しています。今はコロナ禍でみんなが在宅やテレワークですが、集まらないといけない時もある。HUBがあることで会社に出てきた人が集まりやすいし、来たら馴染める。こういう場所が、今の時代にもあっているなと思います。

また、会議室も社長室もガラスで仕切りました。これによって、エントランスを入ると正面の窓一面の日比谷公園が目に飛び込んできます。全体としては以前より約70坪減っているのですが、お客さんには「広くなりましたね!」と言われます。会議室も全てガラス張りにしたことで隠れるところはなくなりましたが特に不便はないですね。また、デザイン的にはネオンのような若い素材も取り入れていますが、トレンド感もあって気に入っています。

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エントランスを入って正面に見える日比谷公園。右手がHUB。

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HUBの一角にあるカウンター。ミッションである「Future Creation」をネオンで造作

ーHUBを中心としたオフィスになって、社員の変化はありましたか?

一番良かったと感じているのは、風通しが良くオープンになったことです。以前は会社説明会や入社式などは、クローズな会議室でやっていました。今は全部ここ(HUB)でやっています。

先日も内定式を開催しました。スクリーンを下ろしてプレゼンをしたり、私が登壇してメッセージ伝えたりと。そうすると、オープンな場所なので社員が見に来ます。HUBを囲むように座って「こんな人が来年入ってくるんだ」と見ているんですね。これまでは「関係のない行事」だったのが、部署関係なくみんなが興味をもっている。これは今までなかった光景ですね。

また、先ほども言ったように会議室をガラス張りにしたのですが、誰と誰が打ち合わせをしているのかみんなが分かる。分かってしまうことは必ずしも良いことではないかもしれませんが、見えることでみんなが全体を見渡すようになる。周りに意識が向くので、帰属意識が生まれますし、社員がまとまりやすくなったようにも思います。

そして自社への愛もすごく感じるんですよ、最近。これってオフィスとは関係がない話かもしれないですが、CPが好きで、良くしたいと社員が思っているのを感じますね。

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HUBを使う社員の皆さんの様子

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中央がHUB、その奥には執務スペース。左手にあるガラス壁の向こうは会議室

ー事業面にも影響があったようですね

そうですね、業績としては最高益でした。創業から今までで一番利益がでましたね、移転した昨年は。

この最高益にはオフィスが大きく関係していると思っています。大企業のクライアントが来社した際に「VR事業やるなら、こういう環境でやらなきゃね」と反応もいいですから。評判やイメージの良さは、受注にもつながりやすいんです。

また、採用活動も積極的に行いまして、エグゼクティブクラスを数人採用しました。こういうオフィスだと、エグゼクティブの採用にも効果があります。ビルを見てイヤだなと思われることはないですし、窓の外のこの景色。夜もすごく綺麗なんですよ。照明を落とすとビル群の夜景が目の前に広がってすごく良い雰囲気になりますね。

女性も含めてあれだけの人たちが採用できたのは、やはりアクセスも含めたオフィスの効果なんだと思っています。

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ー歴史ある会社がオフィスを移転する効果とは?

うちも40年続いている会社ですが、創業から数十年経つ会社にはそれなりに伝統や格式、品格があります。これは大事なことで、これがあるから続くんです。しかしそれに加えて、新しさや斬新さ、新規事業へのチャレンジをすることなどが、古い会社にとってはブランディングとしてとても効果的です。

さらに弊社はオフィス移転のタイミングで、フルフレックス制と年俸制に切り替えました。
オフィスを変える時って、変えたいのは場所だけじゃないですよね。もちろんコスト削減などいろいろな問題・課題はあると思いますが、問題は経営をどう変化させるか。そのタイミングでオフィスを変えると、器の変化に伴って、中身も変わりやすくなるんです。もちろん、全部が成功するとは限りませんが。

歴史ある会社は保守的になりがちですが、個人的にはオフィスを保守的に考えるのはよくないと思っています。人間と一緒で、おしゃれなものを着れば、気分的にもおしゃれになってくるじゃないですが。そういうのと同じだと思うんですよね、オフィスも。

なので古い会社こそ、経営が新しい局面に入る時や第二創業、あとはマンネリな雰囲気を変化させたい時期にオフィスを変えることはとても効果があると思っています。

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窓の外に日比谷公園が見える会議室にて
インタビュー・執筆:及川静香(TRAIL HEADS)

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